みどりの窓口だけではない!鉄道きっぷを対面で購入できる方法を解説~旅行会社店舗活用のススメ~

JTB有楽町店 きっぷ鉄(運賃規則・収集)

JRの駅にある「みどりの窓口」では、駅員からアドバイスを受けてきっぷを買えます。ところが、その窓口の数が減少の一途をたどっているのが問題です。

駅によっては、オペレーターと話しながら操作をアシストしてもらえるタイプの指定席券売機が設置されていますが、基本的には自己操作が要求されます。

また、鉄道会社各社からは、ネット予約サービスの利用が推奨されています。しかし、その前提となる列車の検索方法やきっぷのルールをある程度理解することが必要です。また、操作そのものも煩雑です。

鉄道きっぷのしくみはかなり複雑なため、リピーターでさえも自分できっぷの買い方を考えるのは簡単ではありません。適切なきっぷを用意するのにお困りの方が多いのではないでしょうか。

実は、きっぷを買えるのは、駅やインターネットだけではありません。

じっくり相談しながら鉄道きっぷを買うのに適しているのは、市中にある旅行会社です。JR線のきっぷであれば取扱手数料がかかりませんが、店舗が減少傾向にあるのが残念です。

この記事では、JRの乗車券類をはじめとした鉄道きっぷの発売箇所について、旅行会社勤務経験がある筆者が詳しくお話しします。それらの箇所でアドバイスを受けながら、より賢く鉄道きっぷを購入するための方策を探っていきたいと思います。

鉄道きっぷを買えるのは駅だけではない

東海道線普通列車熱海駅にて

最初に、駅で買うのが当たり前だった鉄道きっぷの発売箇所について、改めて考えなければならなくなった背景についてお話しします。

みどりの窓口の減少がどうして問題なのか

冒頭で申し上げた通り、JR各社の駅にあるみどりの窓口は、減少の一途をたどっています。特に、JR東日本やJR西日本では、その傾向が顕著です。

JR東日本管内では、2021年には440か所あったみどりの窓口が、2024年現在209か所まで減少しています。減少のペースは一時的に鈍化していますが、将来的にはさらに減少するでしょう。

それを埋め合わせる形で、オペレーターが操作をアシストするタイプの指定席券売機(「話せる指定席券売機」や「みどりの券売機プラス」)が増備されています。しかし、券売機で取り扱える業務の種類が多くなく、結局みどりの窓口で扱う場合が多いのが現状です。

鉄道きっぷのしくみはとても複雑で、深い知識が必要とされます。鉄道をあまり利用しない一般ユーザーにとって、きっぷのルールを習得するように求められるのは無理難題なことです。

そのため、みどりの窓口にいるスタッフに要望を伝え、アドバイスを受けてきっぷを購入するのが、鉄道で旅行するための基本的なスタイルです。

みどりの窓口が減少すると、きっぷを買うためのアドバイスを受けられる機会が減少します。鉄道旅行への敷居が上がってしまったと感じている方が多いのではないでしょうか。

それでは、どこできっぷを買えばよいのか

列車の検索方法やきっぷの買い方が難しいため、鉄道きっぷを買うために援助を受ける必要がある人はまだまだ多いと思われます。それらの人は、どこに行ったらいいのか、頭を抱えているはずです。

各鉄道会社では、ネット予約サービスの利用をユーザーに推奨しています。しかし、そのサービスを利用するには、列車の検索方法や運賃規則にある程度長けている必要があります。そのため、ネット予約の普及が根本的な解決策にはなりえません。

鉄道のきっぷを買えるのは、実は駅だけではありません。市中にある主な旅行会社の店舗でも、それらのきっぷを取り扱っています旅行会社できっぷを購入する場合、スタッフと対面で相談できるのが、ユーザーにとっての大きな利点です。

旅行会社で販売しているのはパッケージツアーという先入観があるため、鉄道きっぷを代売していることが忘れられがちです。しかし、みどりの窓口が減少する流れの中では、旅行会社で鉄道きっぷを買うことが再びクローズアップされてもいいのではないでしょうか。

それでは、どこで鉄道きっぷを買えるか、具体的にお話しします!

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鉄道きっぷの発売箇所による特徴・留意点

スタッフと対面できっぷを購入できる発売箇所は、駅のみどりの窓口、駅の旅行センターおよび市中にある主な旅行会社です

駅の旅行センターについては、JR西日本管内(TiS)およびJR四国管内(ワープ)に残っていますが、その他のエリアでは消滅しました。ただし、JR東日本管内では「駅たびコンシェルジュ」と形を変えて営業が続いています。

これらの発売箇所の特徴や留意すべき点を、順を追ってご説明します。

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駅の有人窓口

秋葉原駅みどりの窓口

JR各社においては、スタッフが配置された有人窓口は「みどりの窓口」もしくは「JR全線きっぷうりば」(JR東海管内)と呼ばれています。私鉄においても、特急券うりばなどの有人窓口が設置されていることがあります。

券売機で取り扱えないきっぷを買えるのは、基本的には駅の有人窓口です。

有人窓口の利用対象者

鉄道を利用するあらゆるユーザーが対象のため、利用者の制限は特にありません。ただし、券売機で購入できるきっぷについては、券売機で購入するよう指示されることがあります。

有人窓口の業務内容

ユーザーが購入したい列車のきっぷを、スタッフが対面で発売します。

ここで留意すべきことは、きっぷの経路や着駅、乗車する列車についてはユーザーが自分で調べる点です。どのようなきっぷの買い方がおトクかといったアドバイスはスタッフに教えてもらえますが、一から旅行相談に応じてもらえる場所ではありません

有人窓口で取り扱うきっぷの種類

JRのみどりの窓口であれば、日本全国のJR線の乗車券類が発売対象です。乗車券類には、普通乗車券や定期乗車券、特急券、グリーン券、寝台券が含まれます。その他に発売されているのは、各種フリーきっぷや「青春18きっぷ」、「レール&レンタカー」などの特別企画乗車券です。

普通乗車券に限っては、当駅発のものしか発売しない鉄道会社や駅があります。

「トクだ値」や「eきっぷ」など、ネット予約サービス限定の割引きっぷは、有人窓口では扱っていません。

かつては周遊券や観光施設の入場券(観光券)など多くの商品の取り扱いがありましたが、現在は無割引の乗車券類の発売が中心です。

有人窓口の役割

きっぷを対面で購入できる他に、乗車日1か月前に発売される前売分の指定券を発売時刻に購入できる点が、有人窓口の強みです。

JR線における前売分指定券の発売開始が午前10時であることから、発売時刻に指定券を確保することは「10時打ち」と言われています。ただし、JR東日本の首都圏地区の多くの駅では10時打ちに対応しなくなっていることに注意してください。

10時打ちに関しては、以下の記事(↓)も是非ご一読を。

ネットや券売機で対応できない業務をすべて巻き取るのが有人窓口の役割であることは、言うまでもありません。

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JR東日本「駅たびコンシェルジュ」

大宮駅駅たびコンシェルジュ

JR東日本における駅の旅行センターの役割をかつて担っていたのは、「びゅうプラザ」でした。2022年にすべてのびゅうプラザが閉鎖され、その代わりに「駅たびコンシェルジュ」という箇所が誕生しました。

駅たびコンシェルジュの利用対象者

JR東日本を利用するユーザーの内、外国人観光客やミドル・シニア層に対象が絞られています。

その内、ミドル・シニア層については、「大人の休日俱楽部」会員が利用対象です。利用する際には、事前に利用申し込みをし、来店時刻を予約する必要があります。

したがって、駅たびコンシェルジュについては、誰でも利用できるわけではないことに留意したいです。

駅たびコンシェルジュの業務内容

JR東日本子会社の旅行会社、株式会社JR東日本びゅうツーリズム&セールスが店舗を運営しています。厳密には旅行会社であるものの、業務内容が限定されているため、駅たびコンシェルジュ店頭にて取扱手数料が徴収されることはありません。

JR東日本管内の鉄道旅行の相談業務や乗車券類の発売まで、利用対象者向けに幅広く業務を展開しています。同社が発売する旅行商品の購入サポートも、業務に含まれます。

同社管内の観光情報の発信も、駅たびコンシェルジュの役割の一つです。

駅たびコンシェルジュ店頭では、大人の休日俱楽部会員を対象に「趣味の会」が開催されることもあります。

駅たびコンシェルジュで取り扱うきっぷの種類

外国人観光客向けには、「Japan Rail Pass」等各種フリーきっぷやJR線の乗車券類(普通乗車券や特急券等)の発売を行います。

また、大人の休日俱楽部会員向けには、会員専用の割引きっぷや「大人の休日俱楽部パス」の発売を行います。

駅たびコンシェルジュの主な業務が旅行相談であることから、複雑な乗車券類の発売は苦手です。しかし、丁寧な接客を受けられるため、旅程の相談をしながらJR東日本管内のきっぷを買いたいユーザーには、非常におススメです。

駅たびコンシェルジュの役割

店舗に配置されているスタッフが「コンシェルジュ」なだけに、接客の良さが際立っています。ユーザーにとっても、安心して旅行の相談に応じてもらえますし、旅行商品の購入をサポートしてもらえます。

筆者個人的には、利用対象者が制限される点が残念です。サポートが必要なのは外国人観光客やシニア層に限りません。みどりの窓口では対応が難しく、サポートが必要なユーザーを、アシスタンスセンターとして幅広く受け入れるのが望ましいのではないでしょうか。

市中の旅行会社

近畿日本ツーリスト有楽町店

最近は店舗の数がかなり減少しましたが、市中にある旅行会社の店舗も、まだまだ重要な役割を担っています。

旅行会社は、パッケージツアーばかりを販売しているわけではありません。JR線のきっぷや船車券(鉄道・バス・船舶)を代売するのが旅行会社の本来の役割であることを覚えておきたいです。

旅行会社の利用対象者

駅の有人窓口と同様で、旅行を希望するすべてのユーザーが利用対象者です。特定の利用資格や最低利用金額があるわけではなく、誰でも利用できます

パッケージツアーや宿泊商品を購入しなくても、鉄道きっぷ単独(個札といいます)でも旅行会社を利用できます。

じっくり相談できる環境がある分、購入が完了するまでに時間がかかることを覚えておきたいです。

旅行会社の業務内容

旅行業法に基づく旅行業者として、宿泊施設や交通機関のサービスを代売するのが旅行会社の基本的な業務です。また、それらのサービスを組み合わせた旅行商品の販売を行います。

各交通機関との契約に基づき、船車券と呼ばれる鉄道・バス・船舶のきっぷを発売します。また、JR各社と契約のある旅行会社は、駅のみどりの窓口と同様、日本全国のJR券の発売を行います。

旅程の作成や情報提供といった旅行相談も、旅行会社の業務の一つです。ユーザーから取扱手数料を受け取った上で、それらの業務を行います。かつては、取扱手数料が無料の場合もありました。現在は手配旅行を含め、手数料を収受することが多いようです。

旅行会社の店舗については、営業時間がみどりの窓口よりも短めなことに留意したいです。また、前売開始時刻に指定券を確保することも難しいでしょう。

旅行会社で取り扱うきっぷの種類

契約のある交通機関について、乗車券類の発売を行います。JR券以外は取扱手数料がかかる場合があります。

JR券

JR券については、旅行会社で発売できるあらゆる乗車券類が発売対象です。日本全国のJR駅発着の乗車券類をはじめ、一部のフリーきっぷ、青春18きっぷ、レール&レンタカーの取り扱いもあります。

旅行会社で扱うのは、もっぱら無割引の乗車券類です。ネット限定発売の割引きっぷについては、旅行会社では取り扱いません

かつては、一般周遊券というオーダーメイド型のきっぷが旅行会社で発売されていました。本来的には、複雑なきっぷの販売に適しているのが旅行会社であることが分かります。

船車券(私鉄)

JR以外の私鉄各社の乗車券類を広く取り扱うのが、旅行会社の強みでした。しかし、近年は契約を結ぶ交通機関が減少し、ごく限られたきっぷしか販売されなくなりました。たとえ発売対象であっても、取扱手数料が課されることがほとんどです。

ただし、鉄道会社と資本関係のある旅行会社では、当該鉄道会社のきっぷを取扱手数料なしで購入できる場合があります。下記の例があります。

  • 近畿日本ツーリスト:近畿日本鉄道
  • 東武トップツアーズ:東武鉄道
  • 小田急トラベル:小田急電鉄

旅行券の活用

大手旅行会社では、旅行券を発行しています。ギフトとして受け取ったことのある方がいるのではないでしょうか。

旅行会社で商品を購入する際、旅行券を活用できるのが大きなメリットです。

JTBトラベルギフト

これは、筆者の家族が実際に受け取ったJTBのトラベルギフトです。パッケージツアーや宿泊商品の他、鉄道きっぷを購入する際の決済手段としても活用できます。

鉄道きっぷを旅行券で決済した場合、きっぷの券面には[商制]という文字が表示されます。

みどりの窓口の代わりに旅行会社店舗を利用できる駅【東京23区】

みどりの窓口が閉鎖された駅の周辺に旅行会社の店舗がある駅を、東京23区内で探してみました。

下表にリストアップした通り、JTBおよび近畿日本ツーリストの店舗が利用しやすいと思います。みどりの窓口が閉鎖されてしまった駅に限定している点をご了承願います。

JR駅名店舗名営業時間
有楽町JTBトラベルゲート有楽町毎日11時00分ー19時00分
近畿日本ツーリスト有楽町店毎日11時00分ー19時00分
大井町JTB大井町イトーヨーカドー店毎日10時00分ー18時00分
北千住JTB北千住マルイ店毎日10時00分ー19時00分
亀有JTB亀有アリオ店毎日10時00分ー19時00分
2024年8月現在

開店時刻が遅いため、乗車日1か月前の前売開始時刻の10時には間に合わない点に留意したいです。

筆者の旅行会社活用体験

筆者も、混雑するみどりの窓口を避けるため、旅行会社を利用することがあります。ここでは、旅行会社で鉄道きっぷを購入した体験を、2例ご紹介したいと思います。

青春18きっぷを旅行会社で購入

青春18きっぷ

JR線普通・快速列車に5日間乗り放題の「青春18きっぷ」は、JRの駅だけではなく、JR券を取り扱う旅行会社でも購入できます。そこで、JTBの某店舗で、実際に購入してみました。

申込書に必要事項を記入してスタッフに発券を依頼すると、数分できっぷを発行してもらえました。旅行会社でも、クレジットカードで決済が可能です。JR券なので、取扱手数料がかかりませんでした。

近鉄特急「ひのとり」号のきっぷを旅行会社で購入

近鉄特急ひのとり号特急券

近畿日本ツーリストの店舗では、JR券に加え、近鉄特急のきっぷが取扱手数料なしで購入できます。そこで、近鉄特急「ひのとり」号の指定券を同社の某店舗で購入しました。

やはり申込書に必要事項を記入した上で、スタッフに手配を依頼すると、数分後には近鉄特急のクーポンが発行されました。

近鉄線の駅から遠く、ネット環境がない人にとっては、旅行会社が頼みの綱になります。

旅行会社の最近の動向~ネット化で店舗が減少傾向~

これまでお話しした通り、旅行会社の店舗の本来の役割には、交通機関のきっぷを代売することが含まれます。

旅行商品がインターネット上で取引される以前の時代には、旅行会社の店頭の役割は重要でした。各交通機関や宿泊施設、観光施設の情報を集約し、ユーザーのニーズに応えることは、現在であっても旅行会社の強みです。

しかし、それがインターネットの普及で変わってしまいました。ネット上で自分で情報を収集し、自分のニーズに合った旅行パーツを自分で手配することで、旅行会社店頭で相談しながら商品を買う従来のスタイルが失われつつあります。

その影響で、市中にある旅行会社の店舗数が、大幅に減少しました。それは、対面で旅行の相談ができる機会が減ったことを意味します。

ネットをあまり活用しないデジタル弱者にとっては、旅行会社の店頭がいまだに頼みの綱でしょう。店舗が減少したことで、ネットリテラシーの有無が旅行のスタイルに影響するようになりました。

筆者個人的には、誰もが対面で相談できる環境が残ることを期待したいです。

まとめ

各旅行会社のクーポン入れ

鉄道きっぷの発売箇所は駅に限らず、市中にある旅行会社の店舗も含まれます。旅行会社も大いに活用したいです。

旅程や利用する列車が決まっている人にとっては、きっぷをスピーディーに購入できる駅のみどりの窓口が向いています

利用対象者が絞られますが、JR東日本管内のきっぷを落ち着いた環境で相談しながら購入したい場合、駅たびコンシェルジュが適しています。あらかじめ予約を入れるのをお忘れなく。

市中の旅行会社でも、落ち着いた環境できっぷを買えます。購入するまでに時間がかかる分、乗車する列車や経路を十分に相談可能です。ただし、宿泊商品や私鉄の船車券を同時に購入すると手配旅行となり、取扱手数料が課される可能性があります。

相談できる環境がある発売箇所を押さえて、鉄道旅行を楽しみたいです。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考資料

● みどりの窓口 JR東日本 削減方針を凍結 3年前は440駅 残るのは?(NHK) 2024.5.09付

● JR時刻表 2024年6月号(交通新聞社)

● 駅たびコンシェルジュ(JR東日本) 2024.7閲覧

当記事の改訂履歴

2024年8月06日:初稿 修正

2024年7月29日:当サイト初稿

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