東京・浅草駅から東武日光駅および鬼怒川温泉駅を結ぶ東武鉄道の新型特急列車「スペーシアX(エックス)」。2023年7月から運行されており、東武線を走る特急列車の中ではフラッグシップ的な存在です。
この列車の魅力は、新しい車両に乗車できることのみならず、多彩な車両の設備(座席の種類)を楽しめることにあります。また、列車の目的地である栃木県日光産のドリンクや軽食を提供する「GOEN Cafe(ゴエンカフェ)」も見逃せません。
多彩な設備の中でも、最も豪華なのが「コックピットスイート」です。個室の豪華さが大人気なのに加え、1編成当たり1室しかないため、指定券の確保が課題です。一体どうすればきっぷが取れるのか、お悩みではないでしょうか。
筆者もずっと乗りたいと思っていましたが、運行開始から1年のタイミングで、コックピットスイートのきっぷの確保に成功しました。そして、下り列車と上り列車に往復とも乗車し、豪華な車内やおもてなしを満喫できました。
乗車日1か月前の9時にきっぷを確保するのが、コックピットスイート乗車のポイントです。駅窓口で手配をお願いするのがベストですが、一般発売前に確約できる旅行会社の専用プランもあります。
この記事では、東武特急「スペーシアX」の中でも、豪華設備の「コックピットスイート」に焦点を当て、きっぷの予約方法や料金を徹底的に掘り下げます。そして、実際に乗車した体験から実際の車内の様子やおもてなしをご紹介し、列車の魅力をお伝えしたいと思います。
東武特急「スペーシアX」とは?
2023年7月にデビューした「スペーシアX」は、東武スカイツリーライン・日光線を走る新型特急列車です。
列車の目的地である東武日光駅からは、世界遺産である日光の社寺にアクセスできます。また、鬼怒川温泉駅は、鬼怒川温泉の最寄り駅です。いずれの目的地にも一大観光地があるため、どちらかというと観光客向けの列車と言えます。
列車の運行区間・所要時間
スペーシアXは、東武スカイツリーラインの始点である東京・浅草駅(東京都台東区)から、北千住駅(東京都足立区)および春日部駅(埼玉県春日部市)を経て、終点の東武日光駅・鬼怒川温泉駅(栃木県日光市)までの区間を結びます。
いずれの駅もJR山手線から離れており、東京メトロ銀座線に乗車して浅草駅に向かうか、JR常磐線で北千住駅に向かいます。
浅草駅から東武日光駅までの区間135.5kmの所要時間は約1時間50分、浅草駅から鬼怒川温泉駅までの区間140.8kmの所要時間は約2時間です。
運行ダイヤ【2024年度】
スペーシアXの運行に充てられる車両は、新型のN100系電車です。運行開始当初は2編成でしたが、現在は4編成に増備されました。
毎日6往復12本の列車が運行されますが、運用に入るのはそのうち3編成です。4往復8本が東武日光駅を発着し、残りの2往復4本が鬼怒川温泉駅を発着します。
週末などの多客期には、上記以外の臨時列車が設定され、4編成ともフル稼働することもあります。
編成 | 第1編成 | 第2編成 | 第3編成 |
列車名 | スペーシアX 1号 | スペーシアX 3号 | スペーシアX 5号 |
浅草駅 | 07:50 | 09:00 | 10:00 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
東武日光駅 | 09:39 | 10:50 | 11:47 |
列車名 | スペーシアX 2号 | スペーシアX 4号 | スペーシアX 6号 |
東武日光駅 | 10:25 | 11:55 | 12:55 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
浅草駅 | 12:15 | 13:45 | 14:45 |
列車名 | スペーシアX 7号 | スペーシアX 9号 | スペーシアX 11号 |
浅草駅 | 12:30 | 14:00 | 15:00 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
東武日光駅 | *** | *** | 16:49 |
鬼怒川温泉駅 | 14:32 | 16:03 | *** |
列車名 | スペーシアX 8号 | スペーシアX 10号 | スペーシアX 12号 |
鬼怒川温泉駅 | 15:21 | 16:40 | *** |
東武日光駅 | *** | *** | 17:44 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
浅草駅 | 17:35 | 18:45 | 19:35 |
列車の設備~6種類の多様な設備をコンプリートしたい~
観光性の特急列車ということもあり、スペーシアXの車内設備(座席の種類)は、これまでの列車の類を見ないほど多彩です。一般座席から個室まで用意されていますが、それぞれの設備の名称は以下の通りです。
- スタンダードシート
- ボックスシート
- プレミアムシート
- コックピットラウンジ
- コンパートメント【個室】
- コックピットスイート【個室】
コックピットラウンジがある1号車には、人気の「GOEN Cafe」が併設されています。コンパートメント4室とコックピットスイート1室は、いずれも6号車にあります。
列車の先頭部にある乗務員室に隣接しているのは、コックピットラウンジとコックピットスイートです。前面の風景が見られるのは、下り列車(東武日光駅・鬼怒川温泉駅ゆき)ではコックピットラウンジ、上り列車(浅草駅ゆき)ではコックピットスイートです。
超人気設備の「コックピットスイート」きっぷを獲得するために
スペーシアXの「走るスイートルーム」コックピットスイートは、6号車の乗務員室寄りに位置しています。
運転席からの眺めを独占できるコックピットスイートは、まさにプライベートな空間です。下り列車では最後尾からの流れる風景が、上り列車では最前部からの迫力ある前面展望を楽しめます。
プライベートな空間とは言っても、下り列車では車掌が常時出入りする点に留意する必要があります。しかし、上り列車については、(車掌があいさつで出入りする以外には)誰も出入りしない独占的な空間です。
コックピットスイートには最大で7名まで乗車できるので、ファミリーやグループに向いています(実は1名から乗車可能です)。
コックピットスイートに乗車すれば、快適な空間が得られることはもちろん、後述するようにコックピットスイートでしか受けられないサービスやおもてなしがあります。このように、希少な体験ができることから、非常に人気です。
1編成に1室しかないため、複数のユーザーが利用を希望した場合、先着の1組がきっぷを確保する形です。そのため、乗車する時期や時間帯によっては、きっぷを獲得するために激しい競争になります。
それでは、コックピットスイートの予約を取るための方策をご説明します!
コックピットスイートの予約方法
スペーシアXのコックピットスイートに乗車するためには、あらかじめコックピットスイートの指定券(特急券・特別座席券)を購入します。
コックピットスイートのきっぷは旅行商品扱いではなく、駅などで購入する形です。高額な旅行商品をセットで購入する必要がない点で、乗車するための敷居はそれほど高くありません。
その分、発売開始時点でのきっぷ確保のための競争を覚悟したいです。ここでは、自力で手配する方法と、旅行会社を利用して手配する方法をそれぞれご説明します。
自力で手配する方法
スペーシアXをはじめ、東武特急の特急券(指定券)を購入できる箇所は、インターネットもしくは東武鉄道直営の有人駅です。
特急券の発売開始時期は、乗車日の1か月前午前9時00分です。ネットか駅かで発売開始時刻に差はなく、一斉に発売開始になります。JRと違い、朝9時開始であることに注意しましょう。
自力で手配する場合、旅行会社の商品を利用する場合とは異なり、すべての便の予約購入が可能です。
インターネット
スペーシアXの特急券を購入できるウェブサイトには、以下の2つがあります。ネットで特急券を購入する場合、オンラインで決済するためにクレジットカードが必要です。
● 特急券インターネット購入・予約サービス
スペーシアXを含むすべての特急列車の予約が可能なウェブサイトです。スタンダードシート以外の設備の予約を行う場合、駅での決済はできず、オンラインでの決済が必要です。オンラインで決済する場合、席番や室番を自分で選べます。
このサービスには会員登録のしくみがないため、購入するたびに電話番号やメールアドレスの入力が必要で、決済にも時間がかかります。一刻を争う予約にはあまり向いていません。
● NIKKO MaaS(日光マース)
本来は日光・鬼怒川方面のデジタルきっぷを購入するためのウェブサイトですが、実はスペーシアXを含む特急列車の予約が可能です。駅で決済するしくみは特になく、すべての手続きがサイト上で完結します。
予約購入の操作を行う前に、会員登録をあらかじめ済ませておきましょう。
乗車1か月前の発売時に購入する場合、9時前にログインしておくと、9時ちょうどに席の予約が可能です。上述した「特急券インターネット購入・予約サービス」と比較すると時間的に有利で、おススメです。
東武鉄道直営の有人駅
東武東上線系統の全有人駅を含め、東武線内の直営有人駅でも、発売開始にあわせて特急券を購入できます。一部の特急停車駅ではクレジットカードで決済できますが、大半の駅では現金決済のみです。
● 券売機
他社委託駅を除く東武線の各駅には、特急券を購入できる券売機が設置されています。その券売機は、乗車1か月前の9時から操作が可能です。しかし、窓口に設置されている端末機に比べ、操作のタイミングで劣ります。一刻を争う場合には不利で、発売開始時刻であってもうまく取れないことがあります。
● 駅窓口
東武本線系統各有人駅および東武東上線池袋駅の特急券うりばもしくは改札口にはマルチ端末機が設置されていて、特急券の購入に対応しています。発売開始に合わせての座席確保が可能なことはもちろん、発売開始前にすでに押さえられている座席をあらかじめ確認してもらうことが可能です。
筆者の所見
スペーシアXの運行が始まってから1年が経ちましたが、スタンダードシート以外の設備は早くから席が埋まってしまいます。それでも、発売開始のタイミングならば、ネットでも十分でしょう。
しかし、コックピットスイートばかりは、週末や多客期を中心に、乗車日1か月前の9時ちょうどで完売になることが多いです。したがって、確実に取りたい場合には、駅できっぷを購入したいです。
東武線沿線に在住し、発売開始時に駅まで出向ける場合、駅で購入すると有利です。遠方に住んでいる場合はネット予約が頼みの綱ですが、一刻を争う場合はNIKKO MaaSがベターです。
駅に出向く場合、できれば窓口で駅員に手配をお願いしたいです。あらかじめ押さえられている座席や個室を確認できる上に、9時00分ちょうどで結果が出ます。ワンオペで業務を行う駅や、ユーザーが集中する大きな駅以外の駅で手配してもらうのがおススメです。
東武トップツアーズの旅行商品を利用する方法
東武鉄道グループの旅行会社、東武トップツアーズでは、スペーシアXのコックピットスイートを利用する旅行プランが発売されています。
列車(スペーシアX)とホテルがセットになったダイナミックパッケージを購入する形ですが、40日前からコックピットスイートの申込が可能です。一般発売以前に確約されるため、宿も一緒に申し込む場合は利用を検討したいです。
ただし、旅行商品で申し込めるのは、以下の通り一部の便に限られています。
曜日 | 下り列車名 | 上り列車名 |
月曜 | 1号 | 6号 |
火曜 | 5号 | 4号 |
水曜 | 1号 | 6号 |
木曜 | 5号 | 4号 |
金曜 | 1号 | 6号 |
土曜 | 5号 | 4号 |
日曜 | 1号 | 6号 |
コックピットスイートの料金~お値段に見合う価値があるか~
スペーシアXのコックピットスイートに乗車するには、乗車券の他に指定券(特急券・特別座席券)が必要です。ここでは、コックピットスイートの料金について詳しくお話しします。
コックピットスイートの運賃・料金計算
コックピットスイートの運賃・料金の計算のしくみは、以下の通りです。
運賃:
[人数分の運賃]
料金:
[スタンダードシートの特急料金人数分]+[コックピットスイートの特別座席料金(室料)]
運賃と特急料金は人数分必要ですが、特別座席料金(室料)は何人で乗っても18,000円です。
例えば、主な駅から東武日光駅・鬼怒川温泉駅まで乗車した場合の大人一人当たりの値段は、下表の通りになります。
● 浅草駅→鬼怒川温泉駅
乗車人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 |
運賃(a) | 1,590 | 3,180 | 4,770 | 4,770 | 7,950 | 9,540 | 11,130 |
特急料金 | 1,940 | 3,880 | 5,820 | 7,760 | 9,700 | 11,640 | 13,580 |
特別座席料金 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 |
料金券金額(b) | 19,940 | 21,880 | 23,820 | 25,760 | 27,700 | 29,640 | 31,580 |
総額(a+b) | 21,530 | 25,060 | 28,590 | 30,530 | 35,650 | 39,180 | 42,710 |
一人当たりの値段 | 21,530 | 12,530 | 9,530 | 7,633 | 7,130 | 6,530 | 6,101 |
● 浅草駅・北千住駅→東武日光駅/北千住駅→鬼怒川温泉駅
乗車人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 |
運賃(a) | 1,400 | 2,800 | 4,200 | 4,200 | 7,000 | 8,400 | 9,800 |
特急料金 | 1,940 | 3,880 | 5,820 | 7,760 | 9,700 | 11,640 | 13,580 |
特別座席料金 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 |
料金券金額(b) | 19,940 | 21,880 | 23,820 | 25,760 | 27,700 | 29,640 | 31,580 |
総額(a+b) | 21,340 | 24,680 | 28,020 | 29,960 | 34,700 | 38,040 | 41,380 |
一人当たりの値段 | 21,340 | 12,340 | 9,340 | 7,490 | 6,940 | 6,340 | 5,911 |
● 春日部駅→東武日光駅・鬼怒川温泉駅
乗車人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 |
運賃(a) | 1,230 | 2,460 | 3,690 | 3,690 | 6,150 | 7,380 | 8,610 |
特急料金 | 1,710 | 3,420 | 5,130 | 6,840 | 8,550 | 10,260 | 11,970 |
特別座席料金 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 | 18,000 |
料金券金額(b) | 19,710 | 21,420 | 23,130 | 24,840 | 26,550 | 28,260 | 29,970 |
総額(a+b) | 20,940 | 23,880 | 26,820 | 28,530 | 32,700 | 35,640 | 38,580 |
一人当たりの値段 | 20,940 | 11,940 | 8,940 | 7,133 | 6,540 | 5,940 | 5,511 |
特別座席料金を頭割りすると、2人では9,000円、4人では4,500円、7人では2,570円です。多人数であればあるほど、思ったほど高額ではないことにお気付きではないでしょうか。
値段は張るものの利用しやすい料金設計
前述しましたが、コックピットスイートに関しては専用の旅行商品を購入するのではなく、きっぷを買って乗車します。旅行商品は高額で販売される可能性がありますが、きっぷであれば誰でも所定の値段で買えます。
コックピットスイートのような個室空間を独占できる列車には、スペーシアXの他にJR東日本が運行する「TRAIN SUITE四季島」やJR西日本が運行する「TWILIGHT EXPRESS瑞風」などがあります。いずれも専用の旅行商品を購入する形で、一人当たりの料金も百万円を優に超える設定です。富裕層向けの列車であって、誰でも利用できるわけではありません。
その点、スペーシアXのコックピットスイートは、同じような空間をお手頃な値段で体験できると言えるでしょう。
それでは、コックピットスイートに乗車し、体験した豪華空間とおもてなしを、写真でご覧いただきます!
コックピットスイート乗車体験 ~豪華な室内とおもてなしを満喫~
スペーシアXのデビューからちょうど1年が経った2024年7月中旬、浅草駅から鬼怒川温泉駅まで向かうのに、往復ともコックピットスイートに乗車しました。
スペーシアX 7号【ゆき:浅草駅→鬼怒川温泉駅】
下り列車のスペーシアX7号には、金曜日に乗車しました。平日にもかかわらず、スタンダードシートを含めてほぼ満席でした。すごい人気です。
スペーシアX7号:
浅草駅 12時30分発 → 鬼怒川温泉駅 14時32分着
浅草駅には、12時過ぎに入りました。スペーシアX専用の5番線ホームへ。
スペーシアX2号が、12時18分に入線。この列車が折り返して、スペーシアX7号になります。
これが、行先標です。従来の列車のような固定表示ではなく、動的な画面が目を惹きます。
定刻4分前の12時26分に車内整備が完了し、大慌てで車内へ。6号車には個室が5室ありますが、そのうちの1室がコックピットスイートです。
6号車の廊下を進んだ一番奥の部屋が、コックピットスイートです。
コックピットスイートは乗務員室に隣接しており、下り列車では車掌が執務している様子がうかがえます。
応接セットのようなソファーとイスが7人分置かれています。7人乗っても、余裕の広さです。
電源コンセントは、乗務員室寄りの壁面に2か所設置されています。数が若干少ないです。
なんと、人数分のスリッパが備え付けられています。
部屋の隅にはクーラーボックスがあり、人数分のミネラルウォーターが入っています。まさに特別な設備といった感じです。
定刻の12時30分に、列車が出発。とうきょうスカイツリー駅を過ぎてから、車掌があいさつに見えました。コックピットスイート専用のコースターを人数分いただきました(GOEN Cafeを利用すると、非売品のピンバッジも人数分もらえます)。
6号車に乗車する場合、1号車コックピットラウンジにある「GOEN Cafe」がオンライン整理券なしで利用可能です。2024年3月以降、無条件で利用可能になっています。ということで、いちごの香りがするアンバーエール(ビール)と頂鱒のスモーク、日光湯波おかきを購入。部屋に持ち帰り、いただきました。
栃木駅を出発してから、車掌がボードを持ってきました。何かと思ったら、記念撮影タイムということでした。コックピットスイートの特別サービスだそうです。車掌自らが対応されるとは、ゆめゆめ思いませんでした。
運行開始1周年を記念して、特別なボードも用意されていました。
極楽の空間を満喫できたところで、定刻の14時32分に鬼怒川温泉駅に到着。
スペーシアX 8号【かえり:鬼怒川温泉駅→浅草駅】
上り列車のスペーシアX8号には、土曜日の夕方に乗車。週末の便だったためきっぷが取りにくいと思っていたのですが、運良く取れました。きっぷを買った時、上り列車では部屋に車掌が出入りしないと駅員から教えてもらえました。おススメされたので、かえりも奮発した次第です。
スペーシアX8号:
鬼怒川温泉駅 15時21分発 → 浅草駅 17時35分着
15時前に鬼怒川温泉駅の改札口を通り、列車が発車する1番線ホームへ。
定刻10分前の15時11分に車内整備が完了し、いざ車内へ。上り列車ではコックピットスイートが編成の最前部に位置し、前面の展望を独占できます。
発車前に、運転士があいさつに見えました。従来は乗務員が乗客にあいさつすることは考えられなかったので、スペーシアXのウリの一つがおもてなしにあるのだと実感しました。運転席は、さながらコックピットのよう。
定刻に列車が発車。小佐越駅で、「SL大樹」7号と行き違い。東武鉄道のフラッグシップ列車がここで一気に会しました。
下今市駅では、6分間停車。東武日光駅方面からの乗客が多く乗車し、ほぼ満席の状況で発車。
かえりの車内でも、ビールを満喫。限定発売の「SiPA(シーパ)」を選びました。付け合わせには、クラッカービスケットと酒粕のジェラートを購入。
栃木駅を過ぎてから、車掌があいさつに見えました。ゆきの列車と同じく、ボードを持っての記念撮影タイムでしたが、ボードのデザインが異なりました。編成によってボードの色が変わるとのこと。
迫力があり、変化に富んだ東武スカイツリーラインの前面展望を眺めていたら、あっという間に浅草駅に到着。
コックピットスイートの今後の課題を考える
希少な体験を味わえることから大人気のコックピットスイート。
現時点では、大半の列車では発売開始時に一瞬で完売になりますが、日にちや時間帯によってはすぐに売れない列車も見受けられます。
スペーシアXは観光性の列車ながらも、定期列車に違いありません。いつかは、コックピットスイートの人気が一巡する時がやってくるはずです。その時にどのように販売を促進するのかが課題になると考えられます。
需要を維持するには、サービスを充実させるか、値段を下げるかのいずれかの対策が必要になります。特別感を維持するのであれば、値下げするよりもサービスの充実に舵を切るのが妥当でしょう。
例えば、ミネラルウォーターのサービスに加え、GOEN Cafeからワンドリンクを人数分提供したり、お土産を付けるなどのアイデアが思い付きます。また、コックピットスイート限定のイベントを企画することも考えられます。
まとめ
この記事では、スペーシアXのコックピットスイートにかかわるすべてをお話ししました。
高級感のある設備のみならず、乗務員のおもてなしが、この設備の魅力です。そのため、お値段が張るにもかかわらず大人気で、きっぷを買うのに苦労します。
週末や多客期には特にきっぷが取りにくくなります。発売開始のタイミングで駅窓口の端末での手配をお願いすることに加え、臨時列車をチェックするのも手です。
便によっては、東武トップツアーズが発売するダイナミックパッケージ(旅行商品)に、コックピットスイートへの乗車を組み込むことが可能です。
料金的には値が張るものの、頭割りすれば無茶な価格設定ではありません。富裕層向けの豪華観光列車に比べれば、十分に手が届くと言えます。一度乗車してみてはいかがでしょうか。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 東武時刻表 2024年3月16日号(東武鉄道)
● スペーシアX公式ウェブサイト(東武鉄道)2024.7閲覧
● 新型特急スペーシアXで行く日光・鬼怒川 コンパートメント・コックピットスイート利用フリープラン(東武トップツアーズ)2024.7閲覧
当記事の改訂履歴
2024年7月30日:初稿 修正
2024年7月29日:初稿 修正
2024年7月24日:当サイト初稿
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