宮城県・山形県・福島県内を走るJR東日本の普通・快速列車に、2,720円で1日乗り放題のフリーきっぷ「小さな旅ホリデー・パス」。
普通列車に乗車するだけではなく、快速列車として走る観光列車に乗車する際にも、乗車券として活用できます。週末に南東北エリアの乗り鉄を楽しむのに、適したきっぷです。
このきっぷで乗車できるのが普通・快速列車だけであるため、一見して注目されるわけではありません。しかし、南東北エリアが広大で、使い方によっては日帰り旅行でも十分に元を取れるため、コスパの高さが強みです。
ただし、フリー乗車区間と並行する東北新幹線には乗車できません。しかし、奥羽本線の区間は在来線であるため、特急券を買えば山形新幹線「つばさ」号にも乗車できます。

首都圏から南東北エリアを訪問する場合、ネット限定の「新幹線eチケット(トクだ値)」を購入して東北新幹線新白河駅または郡山駅に入り、その先「小さな旅ホリデー・パス」を利用すると、旅費の節約につながります!
この記事では、JR東日本のフリーきっぷ「小さな旅ホリデー・パス」がどの程度おトクで、どれだけ料金の元をとれるかを検討します。南東北地区の乗り鉄を満喫するためのヒントとしていただければ、幸いです。
- GW・お盆時期・年末年始といったピークシーズンにも使用可能なこと
- 発売箇所が限定されていること(エリア内の駅のみ・ネットでは購入不可)
- 通算で161km以上乗車すれば、きっぷ代の元が取れること
「小さな旅ホリデー・パス」の基本情報

はじめに、「小さな旅ホリデー・パス」のフリー乗車区間や発売箇所、値段といった基本的な事項をご説明します。
「小さな旅ホリデー・パス」のフリー乗車区間
「小さな旅ホリデー・パス」を利用すると、宮城県・山形県・福島県の3県にまたがる南東北地区エリアを走る「大半の」JR東日本線の普通・快速列車に1日乗り放題です。
画像引用元:JR東日本ウェブサイト
このフリー乗車区間の範囲は、JR東日本東北本部(以前の仙台支社)の管轄範囲と概ね一致します。また、営業規則上の「仙台近郊区間」の範囲とも大体かぶっています。
いま「大半の」と申し上げたのは、南東北3県のエリアであっても、東北本部の管轄外である常磐線や羽越本線、陸羽西線はフリー乗車区間から外れているからです。そのため、このパスではそれらの路線を走る列車に乗車できません。
また、東北新幹線はフリー乗車区間外で、新幹線特急券を買ったとしても乗車できません。ただし、山形新幹線「つばさ」号は例外で、特急券を別に購入すれば福島駅と新庄駅の区間(奥羽本線)にも乗車できます。
「小さな旅ホリデー・パス」は、仙台近郊のJR線普通・快速列車に乗車できるシンプルな設計のきっぷであると言えます。
「小さな旅ホリデー・パス」の発売期間・発売箇所
「小さな旅ホリデー・パス」の利用対象者には特に制限はなく、誰でも買うことが可能です。
きっぷの発売期間・利用期間
このきっぷは、通年で発売されています。週末・祝日だけでなく、GW・お盆時期・年末年始といったピークシーズンにも利用可能である点が強みです。
きっぷの発売箇所
「小さな旅ホリデー・パス」は、JR東日本のどの駅でも買えるわけではありません。このきっぷのフリー乗車区間内にあるJR東日本の主な駅・旅行会社でのみ購入できます。
フリー区間外から訪問する場合、例えば東北新幹線新白河駅(福島県白河市)・郡山駅(福島県郡山市)・一ノ関駅(岩手県一関市)といったフリー乗車区間内の駅でいったん降りて購入するとよいかと思います。きっぷを使用する当日に購入できるため、事前に購入する必要がない点が強みです。
このきっぷは、紙のきっぷとして提供されています。デジタルきっぷではないため、ネットでは購入できません。
「小さな旅ホリデー・パス」の値段・様式
「小さな旅ホリデー・パス」の大人用と小児用の値段は、次の通りです。
- 大人用:2,720円
- 小児用:1,350円
なお、このきっぷには、「大人の休日俱楽部」会員用の料金は設定されていません。
「小さな旅ホリデー・パス」は、紙のきっぷです。きっぷを購入すると、本券とご案内券片が付いてきます。きっぷの本券は、自動改札機に通せます。
きっぷ本券

ご案内券片

ご案内券片には、東北新幹線が利用できないこと、特急列車やグリーン車に乗車する際には特急券やグリーン券を購入する必要があることが書かれています。
「小さな旅ホリデー・パス」の価格分析~いかに元を取るか~

「小さな旅ホリデー・パス」の概要を押さえたところで、このきっぷの価値を最大限引き出すための使い方を検討します。ライバルであるフリーきっぷと比較し、このきっぷの強みを見ていきましょう。
価格分析~広大なフリー乗車区間を乗り倒す~
このきっぷのフリー乗車区間である南東北3県は、広大です。このきっぷで乗車できる主な区間の距離と普通片道運賃は、以下の通りです。
線区名 | 乗車区間 | 営業キロ(運賃計算キロ) | 普通片道運賃 |
東北本線 | 新白河駅・平泉駅間 | 266.9km | 4,060円 |
奥羽本線 | 福島駅・新庄駅間 | 148.6km | 2,640円 |
磐越西線・只見線 | 郡山駅・只見駅間 | 161.8km | 3,080円 |
これらのデータから、通算で161km以上乗車すれば、片道であっても元を取れることが分かります。普通列車を乗り継ぐ覚悟があれば、東北本線をひたすら北上するといった使い方が可能です。
往復だと、どうでしょうか。
線区名 | 乗車区間 | 営業キロ(運賃計算キロ) | 普通往復運賃 |
東北本線 | 仙台駅・平泉駅間 | 100.5km | 3,960円 |
目的地に滞在する時間を長くとっても、日帰りで十分元が取れます。
他のフリーきっぷとの比較
南東北エリアを普通列車でめぐるためのフリーきっぷには、「小さな旅ホリデー・パス」の他にどのようなきっぷがあるでしょうか。
真っ先に考えられるのが、夏季・冬季・春季に利用できる「青春18きっぷ」です。従来は、使用日を自由に決めることができたので、絶対的なライバルでした。しかし、2024年冬季に青春18きっぷの商品設計が抜本的に見直されたため、もはやライバルとは言えません。
また、南東北エリアがフリー乗車区間に含まれているフリーきっぷには、「週末パス」があります。首都圏エリアと南東北エリア、信越エリアの広範囲がフリー乗車区間に含まれているのが強みですが、2025年6月をもって発売終了となる見込みです。
従来は「青春18きっぷ」や「週末パス」に押され気味で、「小さな旅ホリデー・パス」は目立たない存在でした。しかし、ライバルであるこれらのきっぷが終息に向かっているため、ようやく「小さな旅ホリデー・パス」の出番がやってきた形です。
仙台近郊区間との関係
このきっぷのフリー乗車区間の大部分が、仙台近郊区間と重なることにも留意したいです。
画像引用元:JR東日本ウェブサイト
途中下車せずに列車を乗り継ぐ場合(いわゆる「大回り乗車」)、「つばさ」号に乗車しない限りは普通片道乗車券の方が安価です。途中下車せず、列車に乗り継ぐだけであれば、普通乗車券や交通系ICカードによるIC乗車を検討するとよいのではないでしょうか。
「小さな旅ホリデー・パス」でこんな列車に乗車可能♪
「小さな旅ホリデー・パス」が威力を発揮するのは、エリア内で山形新幹線「つばさ」号に乗車する場合です。また、「青春18きっぷ」の利用期間外に臨時列車・観光列車に乗車する場合にも有効です。
もちろん、フリー乗車区間内に在住する地元の人が所用で仙台に出かけ、日帰りするような場合にも十分活用できます。
ここでは、一般の普通列車以外で特色ある列車を、いくつかピックアップします。
山形新幹線「つばさ」号

山形新幹線「つばさ」号は、福島駅以遠は在来線の奥羽本線を走ります。「山形新幹線」と呼ばれるものの、奥羽本線内での運行形態は、在来線特急列車です。
そのようなわけで、東北新幹線では乗車券として一切使えない「小さな旅ホリデー・パス」が、山形新幹線の奥羽本線内の区間では乗車券として威力を発揮します。
このきっぷの他に、特急券やグリーン券を別に購入しなければならないことは、言うまでもありません。
「びゅうコースター風っこ」

観光列車「びゅうコースター風っこ」は、南東北エリアの北にある小牛田運輸区をベースにして、臨時列車としてあちこちの線区に出稼ぎします。宮城県内の陸羽東線や石巻線、福島県内の磐越西線や只見線を臨時列車として走ることが多いため、フリー乗車区間が重なる「小さな旅ホリデー・パス」が乗車券として最適です。
いずれの列車も全車指定席として運行されるため、別に指定席券を購入する必要があります。
春夏秋に運行されるトロッコ列車としての「風っこ」については、以下の記事をぜひご一読ください。
また、冬場にストーブ列車として走る「風っこストーブ」の詳細については、以下の記事をぜひご一読ください。
快速「湯けむり」号

快速「湯けむり」号は、仙台駅(仙台市青葉区)から小牛田駅(宮城県美里町)を経由し、新庄駅(山形県新庄市)に至る臨時快速列車です。週末を中心に、レトロラッピングを施したキハ110系車両で運行されます。紅葉時期には、上記の「風っこ」として運行される日があります。
全車指定席として運行されるため、別に指定席券を購入する必要があります。
快速「湯けむり」号に関する詳しい情報は、以下の記事をぜひご一読ください。
気仙沼線BRT

他の線区とは毛色が違うのが、列車ではなくバスが走る「気仙沼線BRT」です。BRTが走る区間のうち、気仙沼駅(宮城県気仙沼市)以南の区間が、「小さな旅ホリデー・パス」のフリー乗車区間です。
気仙沼線BRTおよび大船渡線BRTを筆者が完乗したレポートを、別の記事として公開しています。興味ある方は、ぜひご一読ください。
まとめ

南東北3県の大部分をフリー乗車区間に含む「小さな旅ホリデー・パス」。
ピークシーズンを含む週末に利用可能で、フリー乗車区間内の主な駅で使用当日に購入できます。
このきっぷは在来線の普通・快速列車用であるため、東北新幹線の乗車券として使用できません。また、「大人の休日俱楽部」会員用の割引も設定されていません。
しかし、フリー乗車区間が広大なので、通算161km以上乗車すれば元を取れます。使い方によりますが、圧倒的なコスパの高さがこのきっぷの強みです。
「青春18きっぷ」の商品設計変更や「週末パス」の終息によって、「小さな旅ホリデー・パス」にいよいよ出番がやってきました。
フリー乗車区間に在住する人にとっては、週末のお出かけに気軽に使えるきっぷです。首都圏からこのエリアを訪問する人にとっても、フリー乗車区間内の普通列車の旅に活用できるリーズナブルなきっぷとして有用です。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 「小さな旅ホリデー・パス」商品詳細(JR東日本)2025.3閲覧
当記事の改訂履歴
2025年3月17日:当サイト初稿(リニューアル)
2023年4月21日:前サイト初稿(原文作成)
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