JR全線の普通・快速列車に5回分乗り放題の「青春18きっぷ」。圧倒的な安さと柔軟性の高さから絶大な人気を誇り、40年以上にわたって支持される大ヒット商品です。
青春18きっぷは普通列車の自由席に乗車できることで知られていますが、実は普通・快速列車の一部の指定席やグリーン車にも乗車できます。これが快適に移動するための裏ワザであることは、案外知られていないのではないでしょうか。
いかに旅費を抑えるかが青春18きっぷを利用する上での関心事ですが、少しだけ課金することで、はるかに快適な乗り鉄を楽しめるのです。

首都圏の主要区間を普通列車のグリーン車で移動したり、近畿圏を東西に移動する際に新快速のAシートを利用すると、青春18きっぷの真価を感じられると思います。
この記事では、「青春18きっぷ」で乗車できる普通・快速列車の指定席やグリーン車について、利用上の条件や留意点を詳しく解説します。そして、多くのユーザーが集中する混雑時の対策について考察したいと思います。
これらの内容を深くご理解いただくため、青春18きっぷを活用し、東海道線(上野東京ライン)を走る普通列車のグリーン車や只見線の観光列車「風っこ」に乗車した際の体験をあわせてご紹介します。
- 青春18きっぷはネット予約サービスでは購入できないこと
- きっぷのリニューアル後も乗車できる列車の種別や設備には変更がないこと
- 指定席券や普通列車用グリーン券が別に必要なこと
青春18きっぷの基本情報と特長

「18キッパー」とも呼ばれる青春18きっぷファンだけではなく、一般ユーザーにも広く普及した「青春18きっぷ」。本題に入る前に、このきっぷに関する基本的なことを振り返ります。
青春18きっぷの概要・特長
「青春18きっぷ」は、日本全国のJR線に乗り放題のフリーきっぷで、とても人気があります。発売開始から40年以上愛され続けているきっぷは、他に類を見ません。そのようなわけで、日本における鉄道旅行には欠かせない存在です。
このきっぷの大きな特長は、
- 日本全国のJR線で有効である
- 年齢制限がない
- 発売枚数の制限がない
ことです。
青春18きっぷが大ヒットしたわけは、発売当初における商品設計の自由さにあったでしょう。年齢制限というしばりがないため、老若男女問わず誰でも利用できます。また、利用エリアの制限がなく、日本全国できっぷが有効であることは、他のきっぷでは見られないことです。
2024年冬季にきっぷの商品設計がリニューアルされるまでは、青春18きっぷはとても自由自在なきっぷでした。百人百様の利用の仕方があったのが、人気の秘密だったというわけです。
ただし、青春18きっぷで乗車できる列車の種別や設備には変更がないため、当記事でご紹介するようなきっぷの活用法はいまだに生きています。
商品設計のリニューアルで利用法に制約が
2024年冬季より青春18きっぷの商品設計が変わり、これまでの活用法に影響が出ました。以下の3点で、影響が大きく現れています。
- 連続した3日間もしくは5日間利用できる
- 自動改札を利用する
- グループでの利用ができない
連続した3日間もしくは5日間利用
従来、利用期間のうち任意の5日間を自由に選べましたが、2024年冬季よりあらかじめ使用日を決めて購入する形になりました。とりあえず買っておいてふらっと出かけることができなくなりました。
自動改札を利用する
商品設計の最も大きな変更点が、本券の自動改札対応です。これまで有人改札で駅員に確認してもらう必要がありましたが、今後は自動改札を利用してスムーズに乗り降りできるようになります。
グループでの利用ができない
青春18きっぷの特長だったのが、2人以上で同時に旅行できることでした。本券の仕様変更でそれができなくなり、1人で使用する形になりました。
このように、きっぷの使用法が大きく変化しましたが、端的に言えばきっぷの自由度が失われたということです。青春18きっぷのリニューアルについては、以下の記事をぜひご一読ください。
最繁忙期でも利用可能!【設定期間】
青春18きっぷが発売されるのは、例年夏休み・冬休み・春休みの期間です。
- 夏休み:7月20日ー9月10日
- 冬休み:12月10日ー翌年1月10日
- 春休み:3月01日ー4月10日
夏休みにはお盆期間、冬休みには年末年始期間が含まれます。お盆期間と年末年始期間は最繁忙期とされ、ジパング俱楽部や大半のフリーきっぷといった各種おトクなきっぷが利用制限(ブラックアウト)になります。
そのような中で、青春18きっぷには利用制限期間がなく、設定期間中であれば最繁忙期でも毎日有効です。このことが、青春18きっぷが大ヒットした要因の一つなのではないかと考えます。
また、青春18きっぷには、発売枚数の制限はありません。そのため、利用時間帯によっては非常に混雑します。混雑対策については、当記事の後半で考えたいと思います。
利用可能な列車と区間
前述した通り、日本全国のJR線を走る普通列車および快速列車に乗車できます。特急列車しか走っていない区間については、当該特急列車に乗車できる例外があります。
例外として、一部の第三セクター鉄道の特定区間に制限付きで乗車できます(青い森鉄道・ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道)。整備新幹線(東北新幹線・北陸新幹線)の並行在来線である当該区間によって、いくつかのJR線が隔離されています。隔離された区間に乗車できないと困るため、例外的に接続路線として乗車可能になっています。
特急列車には、一部区間の例外を除いて一切乗車できません。乗車する場合、特急券だけではなく乗車券も購入する必要があります。
青春18きっぷの買い方【発売箇所】
青春18きっぷについては、利用期間に応じた発売期間が決まっています。一般のきっぷのように、乗車日の1か月前から発売が始まるのではないことに留意したいです。
また、昨今普及している「えきねっと」や「e5489」などのネット予約サービスでは、青春18きっぷを購入できません。
駅の窓口か指定席券売機(みどりの券売機を含む)で購入します。また、旅行会社でも購入可能です。
青春18きっぷは紙のきっぷ【きっぷの様式・使い方】
青春18きっぷは、発売開始以来、紙のきっぷです。きっぷのリニューアルに伴い、きっぷのサイズが8.5cm券になりました。いまのところデジタルきっぷではなく、紙のきっぷの状態が続いています。
かつては、使用するたびにきっぷ券面に日付印(チケッター)を押してもらいました。現在は、日付印をもらうことはなく、単純に自動改札機にきっぷを入れるだけです。

前置きが長くなってしまいましたが、これから裏ワザをご説明します!
普通車指定席やグリーン車自由席にも乗れる青春18きっぷの裏ワザ

原則的には普通・快速列車の普通車自由席にしか乗車できない青春18きっぷですが、指定席・グリーン車に乗車できる例外があります。それをうまく活用すると、乗り鉄の快適性がグンと向上します。
ここでは、普通・快速列車の普通車指定席およびグリーン車自由席を利用するための条件や留意点をお話しします。
普通列車のグリーン車【自由席】
自由席制のグリーン車が連結された普通・快速列車においては、「普通列車用グリーン券」を購入することで、グリーン車に乗車できます。指定席制のグリーン車には、普通・快速列車であっても乗車できません。
具体的には、首都圏地区を走る普通・快速列車に連結されたグリーン車が、これに該当します。通勤時間帯には必ずしも座れるとは限りませんが、うまく利用すると普通列車の旅が格段に楽になります。
グリーン券に関しては、紙のきっぷの「普通列車用グリーン券」に限らず、Suicaグリーン券や「JRE POINT」特典Suicaグリーン券でも大丈夫です。
普通・快速列車の普通車指定席
全車指定席の列車を含め、普通・快速列車の普通車指定席では、「指定席券」を購入することで、普通車指定席に乗車できます。自由席と指定席の両方が連結されている列車でも、自由席にしか乗車できないのではなく、指定席券があれば指定席を利用可能です。
JR東日本管内の観光列車「のってたのしい列車」は大半が快速列車なので、指定席券があれば青春18きっぷで乗車できます。
その他にも、以下の列車の普通車指定席も利用可能です。
- 快速「はまゆり」号(釜石線)
- 快速「湯けむり」号(陸羽東線)
- 快速「あいづ」号(磐越西線)
- 快速「マリンライナー」(瀬戸大橋線)
- 新快速のAシート(JR京都線・神戸線)
快速列車の全盛期に比べ、現在は快速列車がかなり減少しました。さらに、首都圏地区から臨時快速列車が消滅したため、青春18きっぷの利便性が以前よりも低下したのが残念です。
ホームライナーなどの乗車整理券が必要な普通列車
現在では、いわゆるホームライナーのような通勤者向けの快速列車は少なくなりましたが、「乗車整理券」を別に購入すれば青春18きっぷでも利用できます。特急列車の送り込み回送列車がホームライナーとして運行されるケースもあって、普通列車ながら特急列車の快適さを安価で体験できます。

お待たせしました。青春18きっぷの裏ワザを実際に活用して乗車した列車をご紹介します!
上野東京ラインを走る普通列車のグリーン車に乗車!【2025年春季】

東海道線と宇都宮線・高崎線を直通する「上野東京ライン」および「湘南新宿ライン」の普通列車には、自由席制のグリーン車が2両連結されています。会社への通勤や少し遠方へのお出かけには、とても便利です。
普通列車用グリーン料金が別に必要ですが、青春18きっぷでも乗車可能です。うまく活用すると、乗り鉄の質がグンと向上します。ここでは、走行距離で最長クラスの熱海駅発前橋駅ゆき普通列車に乗車した際の様子をお伝えします。
1928E:
熱海駅 17時51分発 → 前橋駅 22時13分着

青春18きっぷを利用して大阪・名古屋駅方面から東京駅方面に向かう場合、以前は沼津駅始発の列車を利用できました。現在は、熱海駅で乗り継ぎます。

熱海駅のホームに設置された発車標には、前橋駅ゆきの列車が表示されています。

グリーン車のいいところは、座席に設置されたテーブル。グリーン車でないと車内での食事は難しいです。

JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」で貯めたポイントを充当し、青春18きっぷと併用することも可能です。今回は、普通列車用グリーン券を仕込みました。
この列車に乗車したのは、飛び石連休最終日の日曜日夕方でした。満席になることはありませんでしたが、熱海駅から乗車する人がそこそこいました。筆者は、途中の大宮駅で下車。
新たな青春18きっぷを活用し、東京・大阪間を普通列車でおトクに移動することが、まだまだ可能です。具体的なノウハウを、以下の記事にまとめました。ぜひご一読ください。
只見線乗り鉄~日本の原風景を満喫~【2023年夏季】
別の日に、只見線の乗り鉄を楽しみに上越線小出駅に向かいました。小出駅には上越新幹線の駅がなく、在来線の普通列車を利用する必要があります。
只見線はすべての列車が普通列車か快速列車で、青春18きっぷとは相性がいい路線です。
小出駅から臨時普通列車に乗車

この日の只見線乗り鉄は、小出駅から始まりました。只見線の列車へのラッシュを避けたく、小出駅には早めに到着しました。
9468D:
小出駅 11時26分発 → 只見駅 12時41分着
只見線内に臨時列車が走る週末のみ走る臨時列車です。小出駅には10時40分に入線。2両編成の列車ですが、入線時点で多くの乗客を乗せて座席が結構埋まりました。

11時10分過ぎにこの列車にちょうど接続する上越線普通列車が到着。多くの人が只見線ホームにダッシュしてきました。まさに、青春18きっぷシーズンのダッシュ!

六十里越の手前、大白川駅までは平凡な田園地帯を走行。大白川駅から山あいに入りました。

長い六十里越トンネルを抜けたら福島県に入り、田子倉湖が見えてきます。

ほどなく、只見駅に到着。多くの人に出迎えられました。只見駅の構内は、恐ろしいくらい多くの人で混んでいました。ここで、会津若松駅ゆき「風っこ只見線夏休み」号に乗り換え。
「風っこ只見線夏休み」号に乗り換え

只見線の会津若松駅から只見駅までの区間には週末、臨時列車が走ることが多いです。この日は、トロッコ列車「びゅうコースター風っこ」が快速「風っこ只見線夏休み」号として走りました。
9428D(風っこ只見線夏休み):
只見駅 13時30分発 → 会津若松駅 16時14分着

毎年7月下旬の週末に只見線内を走る臨時列車です。只見線の全線運行再開後、只見駅まで乗り入れています。

「びゅうコースター風っこ」はJR東日本版トロッコ列車で、夏場は窓が全開になります。山間部を走るトロッコ列車は涼しいイメージがありますが、この日は猛暑でした。風っこには冷房がないため、熱中症対策が欠かせません。

冬場にも走る風っこの車内には、だるまストーブが設置されています。するめを焼くのに重宝します。

この列車も、満席で発車。只見川鉄橋について、車掌さんが案内放送をしていました。車窓からの只見川の風景は見事です。

会津盆地の眺めも素晴らしいです。阿賀川にかかる鉄橋を渡ると会津若松の市街地に入り、定刻に会津若松駅に到着。只見線の乗り鉄人気の高さが、訪問している人の多さから感じ取ることができました。
青春18きっぷ設定時期の混雑対策~より快適に乗り鉄を楽しむために~

特に夏休み時期や春休み時期には、大ヒット商品の青春18きっぷを利用して移動するユーザーが非常に多いです。主要線区を走る普通列車はとても混雑しますし、ボトルネックとなる区間では多くのユーザーが集中します。
着席が保証されない普通列車の旅ですが、混雑をできるだけ回避し、より快適に移動するための対策を少しだけ考えたいと思います。
日程や時間帯をずらす
週末や最繁忙期には、列車が特に混雑します。可能であれば、ピークを避けた平日に移動できるとベストです。また、大都市圏内での朝夕の通勤ラッシュは、できるだけ回避したいです。
また、旅行者が多い日中時間帯には、ボトルネックとなる区間を走る列車を中心に、全員が座れないほど車内が混雑します。
柔軟な旅程のプランニング
着席が保証されない普通列車に快適に乗車するコツは、始発駅から乗車することに限ります。目的地まで乗り換えがある場合、乗り換える列車の始発駅で乗り換えることが肝要です。
例えば、東京駅から静岡駅まで向かう際、東京駅から沼津駅行きに乗車した場合には終点の沼津駅まで乗車せずに途中の熱海駅で降車し、熱海駅発の始発列車を始発駅から利用するのが有効でしょう。
そのように乗車駅や乗り換える駅をずらした場合でも、まだまだ混雑することがあります。その場合、後続の列車まで待てば確実に座ることができます。急がずに柔軟に旅程をプランすることが、快適に移動するための基本です。
また、長時間の移動となる場合、途中駅で食事したり休憩をとったりするための余裕時間をあらかじめ組み込むとよいでしょう。
まとめ ~余裕ある旅程で快適に青春18きっぷの旅を楽しみたい~

JR全線が5回分乗り放題の「青春18きっぷ」。非常に人気があるきっぷなので、シーズン中はどの列車も混雑します。少しでも快適に移動したいです。
普通・快速列車の中には、普通車指定席や自由席のグリーン車が連結されています。青春18きっぷでは、例外的にそれらの設備も利用できます。ただし、普通車指定席には「指定席券」、普通列車のグリーン車には「普通列車用グリーン券」が必要なのはいうまでもありません。
首都圏を走る東海道線・宇都宮線・高崎線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)や横須賀線・総武線快速などの路線を走る普通列車に連結されているグリーン車は、乗り換えなしで長距離を移動できるので、青春18きっぷとは相性が合います。
JR東日本管内の観光列車「のってたのしい列車」は快速列車として走っているので、青春18きっぷの他に指定席券があれば乗車できます。それだけに人気があり、青春18シーズンに走る際の指定席券はなかなか取りにくいです。
筆者が出かけた只見線で走っているのは普通列車・快速列車だけなので、青春18きっぷがとてもよく合います。只見線に向かうには、在来線の上越線や磐越西線を走る普通列車で入ります。新幹線とはダイレクトに接続していないため、青春18きっぷと相性が良いです。
青春18きっぷの利用期間は、繁忙期に当たります。どの列車も混雑しがちなので、余裕ある旅程を計画したいです。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
当記事の改訂履歴
2025年3月29日:初稿 修正
2025年01月03日:初稿 修正
2024年7月24日:初稿 修正
2024年7月11日:当サイト初稿(リニューアル)
2023年8月06日:前サイト初稿
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