日帰りで楽しめる関東近辺の国営公園5選~アクセス・料金や訪問のヒントを知って非日常の体験を愉しむ~

東京臨海広域防災公園 観光スポット
東京臨海広域防災公園

「国営公園」と聞くと、具体的なイメージが湧かない方が多いのではないでしょうか。

公園には、自治体が設置している身近な公園以外にも、国が設置した大規模な公園があります。それらの公園は「国営公園」と呼ばれ、全国に17か所あります。国が整備しているというと、意外に思われるのでは。

例えば、観光スポットとして有名な、ひたち海浜公園(茨城県)や沖縄美ら海水族館、首里城公園(沖縄県)も、国が整備している国営公園です。自然を楽しむタイプの国営公園から、史跡を保存するための国営公園まで、バリエーションに富んでいるのも国営公園の特徴です。

関東地方にも、5つの個性豊かな国営公園があります。いずれも交通アクセスは良好で、鉄道で手軽に出かけることができます。

入場料金がかかる公園が大半ですが、国営公園ということで安価です。誰にとっても利用しやすいので、お出かけにふさわしいスポットです!

この記事では、関東地方から日帰りで訪れることができる5か所の国営公園を取り上げます。これらの公園について、アクセスや料金、おススメの楽しみ方まで、実際の訪問体験を交えたコツやヒントをお話しします。

週末のお出かけや家族との思い出作りのために、これらの国営公園を訪れてみてはいかがでしょうか。

全国に点在する国営公園の概要

ひたち海浜公園みはらしの丘
ネモフィラの花@ひたち海浜公園みはらしの丘

最初に、国営公園とはどのようなものか、その位置づけを簡単にご説明します。

国営公園とは

公園は通常、地方自治体によって整備されますが、中には国によって整備される公園もあります。国が整備し運営するのが、「国営公園」です。

国営公園の整備は、国の省庁の一つである国土交通省が担当しています。また、国営公園には、広域的な観点で設置される大規模なものと、国家的記念事業として整備されるものの2つのタイプがあります。いずれも、国民のレクリエーションを促進する役割があります。

交通手段が整備されていて安価に遊べるのが、国民のために設置された国営公園の魅力と言えるでしょう。

国営公園の中には、自然を楽しむ公園だけではなく、大規模防災拠点の役割を果たす公園や、史跡を再整備した公園も含まれます。

冒頭で申し上げたように、世界遺産に指定された首里城公園(国営沖縄記念公園)、東日本大震災の追悼・祈念施設、明治時代における有力政治家の別邸(明治記念大磯邸園)など、国が主体になって保存する施設も国営公園です。自然を楽しむ公園ばかりではないということを知っておきたいです。

国立公園との違い

国が定めている公園には、「国立公園」や「国定公園」があります。しかし、国が運営主体である国営公園と名称が似ていて、混乱の元になります。そこで、それぞれの違いについて触れておきたいと思います。

国営公園

国が用地を取得して建設し、運営までを行うのが、国営公園です。国が用地を所有するのがポイントです。

国立公園・国営公園

国が一定の区域を指定して、その土地の利用の仕方を制限するものを指します。自然を保護するために開発行為を制限するのが、その一例です。国や地方自治体が運営に関与しますが、用地を所有するわけではないことに留意したいです。

それでは、関東地方にある各国営公園のご紹介に入ります!

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関東地方にある国営公園5選・年間パスポートについて

ひたち海浜公園みはらしの丘
ひたち海浜公園みはらしの丘

関東地方には、東京から日帰りで訪れることができる国営公園が5か所あります。また、これらの公園に共通して使える「年間パスポート」が発売されています。

国営公園の一覧(関東地方)

国土交通省では、関東地方に長野県を含めています。ただし、長野県に所在し、日帰りが難しい国営公園については、当記事での説明を割愛します。

長野県を除く関東地方にある国営公園5か所は、次の通りです。

  • 国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)
  • 国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町)
  • 国営昭和記念公園(東京都立川市・昭島市)
  • 東京臨海広域防災公園(東京都江東区)
  • 明治記念大磯邸園(神奈川県大磯町)

この内、自然を楽しむタイプの国営公園が上の3か所、施設を見学するタイプの国営公園が下の2か所です。いずれの公園も交通アクセスが良く、鉄道で気軽に訪れることができます。

年間パスポート

入園料金がかかる国営公園では、1回限り有効の入場料金の他、1年間有効の年間パスポートが発売されています。年間パスポートを持つメリットは、入場料金がかかる全国の国営公園12か所で年間パスポートを共通利用できることです。

料金:大人4,500円/65歳以上2,100円

料金面では、年間で10回以上入場すると元を取れます。また、国営公園によっては、公園独自の特典を利用できる場合があります。

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国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

ひたち海浜公園みはらしの丘

国営ひたち海浜公園は、茨城県中部に位置する国営公園です。かつて米軍施設だった区域が国に返還され、国営公園として整備されました。約350ヘクタールの面積があり、園内はとても広大です。春のネモフィラや秋のコキアで有名で、近年人気があります。1991年に開園して以来、遠方から大勢の人が訪れています。

交通アクセス(公共交通機関・駐車場)

茨城県ひたちなか市の東側、太平洋沿いに位置しています。

公園の最寄り駅は、常磐線勝田駅です。そこから公園まで向かうには、下記の方法があります。

茨城交通の路線バスを利用

ひたち海浜公園ゆきの路線バスに乗車すると、約15分で西口に到着します。多客時には、臨時の直通バスも運行されます。最も基本的な交通手段です。

ひたちなか海浜鉄道を利用

終点の阿字ヶ浦駅まで向かい、臨時運行の無料シャトルバスに乗り換えます。鉄道が那珂湊駅を経由するため、那珂湊に立ち寄る場合には便利です。臨時シャトルバスの運行日については、ひたちなか海浜鉄道のウェブサイトをチェックしましょう。

勝田駅からカーシェアを利用

公共交通機関とは言えませんが、カーシェアを利用するのも便利です。勝田駅東口にはカーシェアのステーションがあり、数台利用できます。公園から那珂湊や大洗に寄り道する場合、クルマがあるとぐっと手軽になります。

駐車場

十分な台数分の駐車場があります。多客時には、通常の駐車場に加えて臨時駐車場が開くので、あまり心配しないで済みます。

開園時間・休園日・入場料金

コキアの花ひたち海浜公園みはらしの丘にて

開園時間

朝の開園時刻は、通年で9時30分です。しかし、多客時には、臨時に開園時刻が早くなることがしばしばあります。早く入園できる場合があるので、公園の公式ウェブサイトを事前にチェックしましょう。

休園日

多客期以外の毎週火曜日(祝日の場合は翌日)が休園日です。年末年始や2月の第1週にも休園日があります。

入場料金

通常期間:大人450円/65歳以上210円

春のネモフィラの時期と秋のコキアの時期は、入場料金以外に季節料金350円が加算されます(年間パスポート所持者は季節料金不要)。中学生以下の人、障害者手帳所持者および介護人1名は、入園無料です。

プレジャーガーデン(遊園地)の乗り物代は、入場料金とは別にかかります。

公園を楽しむためのヒント

公園の面積は約350ヘクタールで、東京ドーム約75個分の広さがあります。広い園内を徒歩で隅々までめぐるのはなかなか大変なので、レンタサイクルやシーサイドトレインを利用するのがおススメです。

ひたち海浜公園のハイライトは、ネモフィラやコキアの花が咲く「みはらしの丘」です。人が少ない状況で写真を撮影するには、朝の開園時刻を狙いたいです。

園内には、レストランがあまりありません。しかし、園内には多くのキッチンカーが入っているため、食べる物には困りません。茨城県名産のほしいもや焼きそばがおいしいです。

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国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町)

国営武蔵丘陵森林公園

国営武蔵丘陵森林公園は、埼玉県中部の丘陵地帯に明治百年記念事業として整備されました。1974年に開園した、日本で初めての国営公園です。公園の広さは、304ヘクタールと広大です。関東地方にある国営公園の中では、比較的地味な存在だと言えます。

交通アクセス(公共交通機関・駐車場)

東武東上線森林公園駅とJR上越新幹線・高崎線熊谷駅の中間に位置します。

東武東上線森林公園から路線バスを利用

森林公園駅から公園の南口までは約3kmあるため、路線バス(国際十王交通)の利用をおススメします。駅の北口から「熊谷駅南口」ゆきもしくは「立正大学」ゆきに乗車します。森林公園西口バス停で下車すると、西口まですぐです。1時間当たり3本程度の運行で、約20分間隔で走っています。

週末限定で、森林公園南口ゆきの直行バス(川越観光バス)が運行されています。

JR上越新幹線・高崎線熊谷駅から路線バスを利用

駅南口から「森林公園駅」ゆきバス(国際十王交通)に乗車します。森林公園西口バス停で下車すると西口へ、森林公園南口入口バス停で下車すると、南口へ向かえます。1時間当たり2本程度の運行で、約30分間隔で走っています。

駐車場

南口・西口・中央口・北口に十分な台数分の駐車場があります。多客期には満車になることがありますが、他の入口の駐車場に空きがあることがあります。

開園時間・休園日・入場料金

国営武蔵丘陵森林公園

開園時間

朝の開園時刻は、通年で9時30分です。

休園日

特定の定休日はありませんが、閑散期や冬季に数日の休園日があります。公園ウェブサイトに日にちが記載されています。

入場料金

通常期間:大人450円/65歳以上210円

中学生以下の人、障害者手帳所持者および介護人1名は、入園無料です。

公園を楽しむためのヒント

丘陵地に造られた公園なので、園内は起伏に富んでいます。そして、園内がとにかく広いため、徒歩で全域をまわるのは厳しいです。レンタサイクルもありますが、坂道が多く走りにくいように思います。公園の端から端へは園内バスで移動すると便利ですが、本数が多くありません。いったん公園を出て、路線バスを利用するとよいかもしれません。

園内にはレストランが2か所あり、予約制でバーベキューも楽しめます。ただし、キッチンカーはいないので、園内での食事はやや不便です。

国営昭和記念公園(東京都立川市・昭島市)

国営昭和記念公園

国営昭和記念公園は、昭和天皇御在位五十年記念事業として米軍立川飛行場の跡地に整備された国営公園です。東京都内にあって、豊かな自然を満喫できます。晩秋にはイチョウの黄葉が見事で、多くの人が訪れます。

交通アクセス(公共交通機関・駐車場)

JR青梅線立川駅から西立川駅までの区間に沿って、線路の北側に位置しています。

JR中央本線・青梅線立川駅からあけぼの口を目指す

JR立川駅北口から西へ10分ほど歩くと、あけぼの口に至ります。晩秋に黄葉を観られるイチョウ並木へは、立川駅から向かうと一直線で分かりやすいです。

JR青梅線西立川駅から西立川口を目指す

JR青梅線西立川駅の北口と公園入口が隣接していて、ダイレクトにアクセスできます。レンタサイクルセンターが近くにあるため、レンタサイクルを利用する場合は西立川駅を利用すると便利です。

西武拝島線武蔵砂川駅から砂川口を目指す

西武線を利用する人にとっては便利です。武蔵砂川駅から南へ20分ほど歩くと、砂川口に着きます。

駐車場

園内に3か所駐車場がありますが、台数に限りがあり混雑することがあります。鉄道アクセスがよい公園なので、クルマの利用は避けた方がよいと思います。

開園時間・休園日・入場料金

国営昭和記念公園

開園時間

有料エリアの開園時刻は、通年で9時30分です。混雑時には開園時刻が早まる場合があります。

休園日

年末年始および1月の第4月曜日・火曜日

入場料金

通常期間:大人450円/65歳以上210円

中学生以下の人、障害者手帳所持者および介護人1名は、入園無料です。

公園を楽しむためのヒント

東京都内にこんなにも広大なみどりがあるのかと、初めて訪れると驚くことに違いありません。約180ヘクタールの広大な園内をめぐるには、レンタサイクルを利用すると快適です。ただし、混雑時はレンタサイクルの利用を長時間待つ可能性があります。できれば朝一で入園したいです。

園内にはレストランが少なく、キッチンカーもイベント時以外はいません。あらかじめ食事を用意して園内に入るか、いったん出場して外で食事をとり、再入園するかのいずれかになります。予約制でバーベキューを楽しめます。

東京臨海広域防災公園(東京都江東区)

東京臨海広域防災公園

東京臨海広域防災公園は、広域的な防災拠点として東京臨海副都心の一角に整備された国営公園です。非常時には災害対策本部が置かれる重要な施設ですが、平時は防災体験施設として内部を見学できます。この公園は、2010年にオープンしました。レクリエーションの場ではなく、むしろ防災学習を行う施設であることから、国営公園としてはいささか変わり種です。

交通アクセス(公共交通機関・駐車場)

この公園は、東京臨海副都心の一角にあります。

鉄道でのアクセス

りんかい線国際展示場駅もしくはゆりかもめ有明駅の目の前に正面入口があり、交通アクセスは良好です。

駐車場

園内に駐車場はありません。ただし、身体障害者用駐車場は用意されています(事前連絡要)。公共交通機関を利用して訪れることになります。

開園時間・休園日・入場料金

防災体験施設東京臨海広域防災公園にて

開園時間

公園は朝6時から午後8時まで開いています。防災体験学習施設「そなエリア東京」の利用時間は、午前9時30分から午後5時までです。

「そなエリア東京」の見学に当たっては、入口で受付を行い、指定された時刻に集合します。

休館日

毎週月曜日および年末年始(月曜日が祝日の場合は翌火曜日休館)

入場料金

無料

公園を楽しむためのヒント

入館無料で防災学習の体験を得られるため、特にファミリー層に人気があります。

館内はツアー形式で見学するため、受付を先に済ませます(事前予約不可)。その時に、開始時間が指定されます。混雑状況によっては、待ち時間があります。

館内を見学する際にはタブレット端末が貸し出され、タブレット上でクイズを解きます。大地震発生後の72時間、どうやってサバイブするか学ぶことができます。

自然を楽しむというのが国営公園という先入観を打ち破るような、ユニークな体験が得られる公園です。

明治記念大磯邸園(神奈川県大磯町)

明治記念大磯邸園

明治記念大磯邸園は、神奈川県湘南地域にあって「政界の奥座敷」と呼ばれる大磯町にある国営公園です。明治時代における有力政治家や実業家の別邸が建っていた一角を国が取得して、内部を見学できるようになりました。明治時代の功績をしのぶことができますが、国営公園としては変わった存在です。

2020年に開園したものの現在整備中で、部分的に見学できる状況です。他の公園とは違い、完全に整備された状態ではないことに留意したいです。

交通アクセス(公共交通機関・駐車場)

JR東海道本線大磯駅から約1kmの場所に位置します。

公共交通機関でのアクセス

駅からは十分徒歩圏内で、約15分ほどで公園に着きます。路線バスも利用できます。

駐車場・レンタサイクル

現在は公園自体が整備中のため、駐車場はありません(身体障害者用駐車場あり)。鉄道を利用して来園することになります。

大磯駅前にある観光案内所で、レンタサイクルを借りられます(台数少なめ)。吉田茂邸まではかなり距離があるので、自転車で移動すると便利です。

開園時間・休園日・入場料金

明治記念大磯邸園

開園時間

午前9時から午後4時30分まで

休館日

毎週月曜日および年末年始(月曜日が祝日の場合は翌火曜日休館)

入場料金

現在は整備中で無料ですが、整備が完了した際には有料になる可能性があります。

公園を楽しむためのヒント

2024年現在整備中で、一部のエリアのみが入場可能です。入場できても工事している箇所が多く、立ち入れない場所が多いです。あまりにも未完成なため、まだまだ訪問をおススメできる状況ではありません

この公園の近隣にある神奈川県営の城山公園をあわせて訪れ、吉田茂邸を見学するとよいでしょう。

国営公園の中では異色な存在で、2026年に予定されている全面開業後も穴場的な存在になると思われます。

まとめ~誰にとっても魅力的な国営公園~

東京臨海広域防災公園
東京臨海広域防災公園

国土交通省によって整備されている国営公園は、全国に17か所あります。自然を楽しむための大規模な公園から、歴史的な建造物を保存するための公園まで、そのタイプは様々です。

地震災害の体験学習ができる東京臨海広域防災公園や、東日本大震災の追悼施設も国営公園に含まれますが、国営公園の中では変わり種と言えるでしょう。

自然を楽しむ大規模な敷地にある国営公園は、関東地方では以下の3か所があります。

  • 国営ひたち海浜公園
  • 国営武蔵丘陵森林公園
  • 国営昭和記念公園

これらの公園はレクリエーションを楽しむ性格があり、いずれの入場料金も有料です。年間パスポートを利用できます。

一方、施設型の国営公園は、関東地方に2か所あります。

  • 東京臨海広域防災公園
  • 明治記念大磯邸園

これらの公園には特有の役割があるため、入場料金がかかりません。

クルマがなくても、公共交通機関を利用すれば容易にアクセスできます。誰しもが安価に楽しめる施設であることが、国営公園の強みに違いありません。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考資料

● 公園とみどり:国営公園(国土交通省)2024.7閲覧

当記事の改訂履歴

2024年11月19日:初稿 修正

2024年10月17日:初稿 修正

2024年7月04日:初稿 修正

2024年6月17日:初稿 修正

2024年5月22日:当サイト初稿

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