東京と横浜の定番観光スポットをめぐる定期観光バス「はとバス」。
はとバスに乗って訪れることができるのは、東京都心部にある東京タワー、東京下町にある浅草や東京スカイツリー、柴又といった万人向けの観光スポットです。また、国会議事堂や迎賓館赤坂離宮といった日本国の政治・外交の舞台にも訪れることが可能です。
そんな観光スポットをめぐるはとバスの定期観光コースには、障害者割引があることをご存じでしょうか。
はとバスのコースを利用すれば、東京に不案内であっても心配なく楽にめぐれます。公共交通機関を利用して自力で移動するのがたとえ難しくても、はとバスではガイドが付くので安心です。
障害者割引を適用してはとバスの定期観光コースに参加するには、ネット予約ではなく、予約センターに電話して予約します。運賃部分だけが割引の対象で、観光部分は対象外です。
この記事では、「はとバス」の定期観光コースを利用するにあたって、障害者割引を適用するための手順をご説明します。そして、国会議事堂と迎賓館を訪れる定期観光コースに筆者が参加した時の様子を共有したいと思います。
はとバスの定期観光コースは障害者割引の対象
日本の首都である東京の都心部や、港町横浜の中心部をめぐるはとバスの定期観光コース。短時間でドライブを楽しむコースもありますが、多くのコースでは食事が付いています。
これらのコースの料金には、バスの運賃だけではなく、観光スポットの入場料金や食事の料金が含まれています。
身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳もしくは療育手帳を所持していれば、バスの運賃部分について障害者割引が適用されます(本人と介護者)。ただし、観光スポットの入場料金や食事代金には割引が適用されない点に留意したいです。
障害者割引が適用されるのは、定期観光コースに限られます。はとバスのコースには、募集型企画旅行として販売されているものもありますが、障害者割引の対象外です。
パンフレットやウェブサイトに掲載されている各コースについて、定期観光コースであるか募集型企画商品であるかが記載されています。申し込む前に確認しておきたいです。
障害者割引を適用する場合、予約センターに電話する必要があります。その際、座席位置の配慮が必要であれば、あわせて相談したいです。
それでは、はとバスの定期観光コースの概要や予約方法について、順を追って説明していきます!
東京と横浜をめぐる定期観光バス「はとバス」
ここで、東京観光の定番である「はとバス」について、概要を簡単にご説明します。
東京都心・横浜の観光と食事を楽しめるはとバス
いま申し上げたように、東京都心や横浜中心部の観光スポットやレストランをめぐるための多くのコースが、はとバスの定期観光コースとして設定されています。
黄色いバスの車体とバスガイドが、はとバスのトレードマークです。終戦直後からはとバスの運行が開始され、2024年で運行開始75周年を迎えました。「東京観光なら、歴史があるはとバスで決まり!」という知名度と信頼を誇っています。
はとバスのコースには、観光スポットへの訪問とレストランでの食事がセットになったものが多いです。もちろん、食事なしで観光スポットを訪問するだけのコースも設定されています。料金は決して安くありませんが、それに見合った良質なサービスが提供されています。
はとバスの定期観光コースで訪れる主な観光スポット
はとバスで訪れることができる主な観光スポットは、以下の通りです。
- 東京タワー
- 東京スカイツリー
- 浅草
- 柴又
- 皇居前広場
- 国会議事堂
- 迎賓館赤坂離宮
- 豊洲市場
- 築地場外市場
どちらかと言えば、流行に左右されない定番の観光スポットが多く、位置的にも東京都心から下町寄りです。東京に在住している人でも十分に楽しめますが、どちらかと言えば初めて東京を訪問する人向けに思えます。
定期観光コースと募集型企画旅行の見分け方
はとバスのコースには、東京都心や横浜をめぐる定期観光コースの他、関東地方近辺をめぐる旅行商品も数多く設定されています。
障害者割引を受けるためには、定期観光コースと募集型企画旅行の違いを押さえておきたいです。
定期観光コース(乗合バス)
定期観光コースは、厳密には観光付きの「路線バス」です。路線バスであるため、空席があれば当日1名から乗車できます。当日ふらっと乗りたくなっても、満席でない限りは大丈夫です。
定期観光コースかどうかを見分けるには、コース番号の先頭に「A・B・C」のいずれかが付いていることを確認します。
募集型企画旅行(旅行商品)
一方、ユーザーをあらかじめ募るタイプのコースは、募集型企画旅行に分類される「旅行商品」です。
コース番号の先頭には「F・H・N・P・R・S・W」などが付いており、20人以上の参加者が集まらないと催行されません。当日気が向いたから参加したいというわけにはいかないのが、このタイプの特徴です。
当記事では、前者の定期観光コースに焦点を当てます。
はとバスのコースには外国人向けのものも設定されていますが、どちらかと言えば日本人向けのコースが多いように見受けられます。
それでは、定期観光コースを申し込む流れをご説明します!障害者割引についても、ここで触れます。
はとバスの定期観光コースの情報源と予約方法
ここでは、数多くのコースから参加したいコースを選び、申し込むまでの流れをご説明します。
当記事では、旅行商品(募集型企画旅行)の予約方法については割愛することをご了承ください。
参加コースを決めるための情報源
はとバスの定期観光コースに関しては、同社のウェブサイトやパンフレットを情報源として活用できます。
ウェブサイトでは、訪問したい観光スポットを絞り込んで検索できます。参加したいコースが決まったら、コースの詳細ページからそのまま申し込みが可能です。
一方、全コースが網羅されたパンフレットは、シーズンごとに発行されています。パンフレットのレイアウトは雑然としていて、一覧性に乏しいのが残念です。しかし、各コースに関して必要な情報は十分に把握できます。参加したいコースが決まったら、ウェブサイトから予約するか、予約センターに電話します。
いずれも各コースの細かな違いを把握するのが難しいため、ニーズに適したコースを見落とす可能性がないとは言い切れません。心配であれば、予約センターに電話して相談することをおススメします。
定期観光コースの予約方法(障害者割引)
コースが決まったら、事前に予約します。障害者割引を受けるには、はとバスの予約センターに電話する必要があります。ウェブサイトからは割引料金で予約できないので、注意しましょう。
予約可能な時期
乗車日の2か月前の午前9時30分から、一部のコースを除いた各コースの予約が可能です。
予約可能な人数
1人から参加可能です。ただし、混雑時は他の参加者と相席になる可能性があります。
はとバスの電話予約センター・営業所
はとバスのウェブサイトやパンフレットに掲載されている電話番号に電話をかけて、予約することも可能です(受付時間:9時00分から17時30分)。
「はとバス 予約センター 電話番号」のキーワードで検索すると、電話番号を調べられます。
電話でコースの予約を行う際、コース名や参加人数の他、代表者の氏名および乗車当日連絡が取れる電話番号を伝えます。予約が完了すると、11桁の予約番号が伝えられるので、しっかりメモを取りましょう。
乗車当日に、バス乗り場にある窓口で料金を支払います。この際に、予約時にメモを取っておいた予約番号を提示します。現金の他、クレジットカードでの決済が可能です。支払いが完了してから、紙の乗車券を受け取ります。
旅行会社でも支払手続きができるそうですが、取扱手数料がかかることがあります。そのため、乗車当日に、はとバスの窓口で支払うとよいでしょう。
障害者割引料金の適用を受けるには
身体障害者手帳、療育手帳もしくは精神障害者保健福祉手帳を所持している場合、本人と介護者1名の料金が割引になります。
割引の対象になるのは、定期観光コース(コース番号A・B・C)です。前述した通り、募集型企画旅行については割引の対象外です。
料金の割引には、鉄道や路線バスのように割引率が決まっておらず、運賃相当額の割引額がコースごとに定められているようです。筆者が実際に利用した定期観光コース(A7417)では、無割引の料金9,200円から2,150円が割引され、一人当たり7,050円を支払いました。割引率が全体の半額ではない点に留意したいです。
障害者手帳による料金割引を適用したい場合、はとバスウェブサイトからの予約はできません。上述したように、はとバス予約センターに電話して、手帳を持っている旨を伝える必要があります。
障害に対する合理的配慮について
足が悪くて車いすを使っている場合、車内の後方への移動が辛く、配慮が必要かもしれません。それ以外の理由でも、様々な配慮が必要になることでしょう。
その場合、予約センターに電話して、コースの予約をする際に、配慮が必要な旨と具体的な要望を伝えます。はとバスに確認したところ、できる限り要望に応じていただけるとのことでした。座席位置の配慮が必要な場合、予約する際に希望を伝えることをおススメします。
ただし、バスに乗車するには段差があり、上り下りがあります。そのため、自力で歩けないとバスの乗り降りが厳しいのではないかと個人的には思います。
筆者が利用した際、料金の障害者割引を申し出ただけでは座席の位置が調整されませんでした。できれば、障害者割引の適用を申し出た時点で、自動的に座席位置を配慮していただけるとありがたいです。
それでは、迎賓館赤坂離宮と国会議事堂を訪れるコース(A7417)を障害者割引で予約し、実際に参加した時の様子を、写真とともに共有します!
はとバス定期観光コースへの参加体験【2024年8月】
2024年8月のある日曜日、「国会議事堂と迎賓館赤坂離宮本館内部見学」コース(A7417)に2人で参加しました。
コースの予約から代金の支払い、各スポットの様子と食事についてご説明します。
コースの予約・料金の支払い
筆者がはとバス乗車を思い立ったのは、乗車日のわずか2日前でした。ウェブサイトで候補となるコースをいくつか閲覧していた時点では、満席になっているものはありませんでした。
はとバス予約センターに電話をかけて、おススメのコースがあるか相談したところ、迎賓館赤坂離宮とホテル雅叙園東京の百段階段を見学できるコース(A7344)の人気が高かったとのことでした。国会議事堂は含まれていませんが、要チェックです。
一日で国会議事堂と迎賓館赤坂離宮の両方を訪れたかったため、結局「国会議事堂と迎賓館赤坂離宮本館内部見学」コース(A7417)を選択し、予約を済ませました。
いざ東京駅丸の内南口へ!
そして、乗車当日の朝9時少し前に、バス乗り場である東京駅丸の内南口に到着。
営業所の外側には、今日出発するすべてのコースの一覧が掲示されていました。繁忙期なだけに、数多くのコースが催行されていたのですが、多くのコースで満席とのこと。
はとバスの営業所窓口で予約番号を申し出て、代金の決済が完了。QRコードが印字された乗車券を受け取りました。
バスへ乗車!
コース出発10分前の9時30分に、2番乗り場へ。すでに乗車するバスが到着していて、参加者がバスに乗り始めていました。
ウェブサイトから購入が完了している人は、スマートフォンに表示されたQRコードをバスガイドに提示し、窓口で支払った人は乗車券を提示する形です。
そして、バスガイドの持つ携帯端末から「ご乗車案内」が出てきました。この案内に座席番号が表示されています。乗車するまで、座席番号が知らされることはありません。
この日は、バス1台での運行でした。ふたを開けてみたら、ほぼ満員。参加者の中には外国人と思しき人はいなく、中高年のファミリーやグループが多かったです。
迎賓館赤坂離宮
東京駅丸の内南口を出発して最初に向かったのが、迎賓館赤坂離宮。二重橋前や靖国神社前を通って、約20分で到着。
迎賓館での滞在時間は約70分。厳しいセキュリティチェックを受けてからガイドからチケットを受け取り、本館内部を見学。
重要な施設であるため、館内での行動には厳しい制限があります。館内での撮影ができないことは言うまでもなく、スマートフォンを手に持つことさえ不可能です。
館内の様子を写真に残せない代わりに、立派なパンフレットが配布されています。
館内は思ったより広く、見学が完了して集合場所に戻るまで1時間近くかかりました。迎賓館正門の外側には真新しい休憩施設があって、ゆっくりと休息をとれます。
ランチ
ランチは、千代田区三番町にあるアメリカンレストラン「トニーローマ」で。スペアリブが売りのお店です。
コース代金に含まれているランチとして、スープとメインプレート、デザートとコーヒーのセットが提供されました。お店で提供されている通常のメニューではなく、はとバスのための特製メニューです。ボリューミーな内容ながら日本人向けにアレンジされていて、誰でも無難にいただけるように思えました。
アルコールドリンクやソフトドリンクが、別会計で注文可能です。
国会議事堂
ランチを取った後、お店から遠くない場所にある国会議事堂へ。この日は、衆議院を参観しました。衆議院を参観できない場合、参議院を参観することになるとのこと。
国会議事堂の裏側に到着すると、国会専属の男性ガイドが乗車してきました。このガイドが国会内を案内してくれます。
参観者入口で衛視による手荷物チェックとボディチェックを受け、内部へ。衆議院本会議場の傍聴者席がある3階まで急な階段を登ります。体が不自由な人には別の経路があるので、心配なく参加が可能です。
写真撮影ができる場所には、制限があります。本会議場では、音声ガイドによる説明を聞く間、写真撮影が可能です。
本会議場を出てから、天皇陛下がお休みになる御休所へ。その後、中央広間に至ります。階段を下り、正門から退出します。正門から出て、バスが止まっている駐車場まで徒歩で移動。
真夏の参観だったのですが、日曜日だったために館内の冷房が消されていて、内部が非常に暑かったです。危うく熱中症になりそうでしたが、館内でドリンクを飲めません。入場前に水分を補給しておきたいです。
東京都心部のドライブ
国会議事堂を去ったのがちょうど14時で、それから1時間弱の都心ドライブへ。ハイデッカーバスから眺める都心の景色は、普通車から眺める風景とはまるで違います。
以下のルートで走り、終着地の東京駅丸の内南口に向かいました。
[虎ノ門(愛宕通り)東京タワー(首都高速)レインボーブリッジ(首都高速)豊洲市場前(有明通り)晴海(晴海通り)銀座]
迎賓館と国会議事堂ではかなり歩き、疲れました。バスに乗っている間に、休息を取れた格好です。
15時を少し過ぎたところで、解散場所に到着。
まとめ
東京都心と横浜中心部をめぐるはとバスの定期観光コースには、障害者割引の設定があります。障害者手帳を所持していれば、本人と介護者1名の料金が割引になります。
ただし、バス運賃に相当する分のみが割引対象で、観光スポットの入場料金や食事代金相当分には割引がありません。
また、割引対象になるのは定期観光コース(コース名にA・B・Cと付くコース)のみで、募集型企画旅行に関しては対象外なことに留意したいです。
定期観光コースについては、1人から参加可能で、出発直前まで申し込みが可能です。しかし、事前に満員になる可能性があるため、予定が決まったら予約をしておくことをおススメします。
障害者割引を適用したい場合、ウェブサイトでの申し込みはできず、予約センターに電話する必要があります。
はとバスの定期観光コースの値段は、決して安いとは言えません。しかし、料金に応じた質が確保されているように思えます。思い立った時に、気軽に出かけてみてはいかがでしょうか。
当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● はとバス公式ウェブサイト 2024.11閲覧
当記事の改訂履歴
2024年11月25日:初稿 再構成
2024年9月03日:初稿 修正
2024年8月21日:当サイト初稿
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