九州随一の大都市、福岡市内を移動するには、地下鉄が便利です。日常生活の他、福岡空港から市内への移動の際にも、地下鉄が威力を発揮します。
福岡市地下鉄では、障害者手帳を所持するユーザー向けに、運賃の割引制度が完備されています。福岡市内に在住する市民のみならず、福岡空港を利用する訪問者にとっても有用です。
地下鉄に乗車する際、現金で購入する紙のきっぷの他に、交通系ICカード「はやかけん」やクレジットカードのタッチ決済を利用できます。障害者割引を適用する場合でも例外ではなく、障害者手帳を所持する筆者も「はやかけん」障害者用カードを活用しています。
「はやかけん」障害者用カードには有効期限が設定されているため、定期的に更新手続きが必要です。また、西日本鉄道の「nimoca」障害者用カードとは共通利用できないため、両方のカードを所持する必要があります。
この記事では、福岡市地下鉄における障害者手帳所持者に対する運賃割引制度の概要、および割引きっぷの購入方法を説明します。
あわせて、福岡市地下鉄で利用できる「はやかけん」障害者用カードの購入方法および有効期限の更新方法に関する情報をご提供します。
福岡市地下鉄の概要・きっぷの購入手段
福岡市地下鉄における、障害者手帳所持者に対する運賃割引制度をご説明する前に、地下鉄の概要について簡単に触れたいと思います。
福岡市地下鉄の概要
福岡市の中心部を走る地下鉄の路線は、従来からの空港線と箱崎線、および全区間が開業したばかりの七隈線です。
空港線を走る列車は、JR九州筑肥線に乗り入れています。福岡空港駅(福岡市博多区)から西唐津駅(佐賀県唐津市)までの区間が、乗り換えなしです。また、箱崎線の終点である貝塚駅(福岡市東区)では、西鉄香椎線に乗り継げます。
福岡市地下鉄におけるきっぷの購入手段
福岡市地下鉄におけるきっぷの買い方は、非常に多様です。紙のきっぷを現金で購入する他、全国の交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済が導入されていて、非常に便利です。ただし、障害者手帳を提示して割引を受けるには、当記事でご説明するような注意点があります。
福岡市内には、地下鉄の他に西日本鉄道線が走っています。西日本鉄道においても運賃の障害者割引制度が完備されていますが、福岡市地下鉄の障害者割引制度とは別個です。したがって、後述する「はやかけん」と「nimoca」の各障害者用カードは、共通利用できません。
福岡市地下鉄と直通運転するJR九州筑肥線に関する留意点に関しても、後述します。
障害者割引制度の詳細
福岡市地下鉄における運賃の障害者割引制度の詳細は、次の通りです。
福岡空港に地下鉄が直結しているため、福岡市民に限らず、訪問者にとっても地下鉄運賃の障害者割引制度は非常に有用です。
対象者
各障害者手帳を所持するユーザーが割引の対象です。障害の種別や等級、手帳の発行地による条件の差は特になく、手帳さえ持っていれば等しく割引を受けられます。
● 第一種:身体1‐3級・療育A/精神1級
障害者本人および介護者1名
● 第二種:身体・療育(上記以外)/精神2・3級
障害者本人のみ
対象区間・設備
福岡市地下鉄全区間が、割引対象になります。ただし、地下鉄が乗り入れを行うJR九州筑肥線については、第一種のみ割引対象です。
割引率
普通乗車券の他、はやかけん定期券も割引の対象です。
普通運賃:50%(等級による区別なし)
それでは、きっぷの買い方をご説明します!
普通乗車券(紙のきっぷ)の買い方
各駅の自動券売機で「割引」のボタンを押してから、乗車する区間のきっぷを購入し、自動改札機を利用します。
紙のきっぷの券面には「小・割」が表示されています。割引ボタンを押すと、駅員を呼び出す状態になります。券売機の後ろから駅員が顔を出すまで待って、手帳を見せてください。駅員が券売機の横からこちらを向くので、驚かないでくださいね。
「はやかけん」障害者用カードの買い方・使い方
福岡市地下鉄では、交通系ICカード「はやかけん」の障害者用割引カードを利用できます。乗車するたびに障害者手帳を見せることなく、運賃が自動的に割引になるため、とても便利です。
購入方法
駅の窓口か定期券売り場(サービスセンター)で手帳を提示して購入します。記名式カードを発行するため、氏名や生年月日、電話番号といった個人情報を提供する必要があります。
[デポジット500円+運賃分500円]=1,000円から購入可能です。
使用方法
カードの右下に「割」と表示され、割引カードであることがわかります。
割引カードについては、そのまま自動改札機を通れば、半額の割引運賃が自動的に引き落とされます。有人改札を通る必要はありません。
地下鉄以外の他線を利用する場合の取り扱い
地下鉄空港線から直通運転するJR筑肥線については、障害者用割引カードでは乗車できません。地下鉄線内の紙の割引きっぷを(姪浜駅まで)購入して自動改札を入場し、JR筑肥線内の駅を出場する時に乗り越し精算すると良いでしょう(紙のきっぷを券売機で購入する時に、はやかけんの残高を利用できます)。
西鉄線や西鉄バスでは、「はやかけん」割引カードを利用できません(障害者用割引「nimoca」が別に必要です)。逆に、西鉄線の割引「nimoca」カードを、福岡市地下鉄線内では使用できません。
福岡市地下鉄以外の交通機関では、障害者用割引「はやかけん」そのものが利用できないので、注意しましょう(自動改札を通れません)。
「はやかけん」以外の交通系ICカードを利用する場合の留意点
障害者用「はやかけん」以外の交通系ICカード(Suicaなど)を自動改札で利用した場合、運賃の割引は適用されず、大人運賃が引き落とされます。
なお、出場する際に有人改札で障害者手帳を提示して、運賃の半額割引を適用してもらうということもできないそうです。交通系ICカードを利用したい場合、「はやかけん」障害者用カードを事前に購入する必要があります。
クレジットカードのタッチ決済について
福岡市地下鉄線内では、従来からの紙のきっぷや交通系ICカードの他、クレジットカードのタッチ決済が導入されています(2024年4月以降本導入)。
タッチ決済では、一日当たりの利用金額に上限(キャップ)が設定されています。一日乗車券の値段である320円(障害者割引)が上限で、それ以上かかりません。
タッチ決済でも運賃の障害者割引が適用されますが、乗車するたびにあらかじめクレジットカードに設定が必要です。入場時に、有人改札で駅員に申し出てください。頻繁に利用する場合、「はやかけん」障害者用カードを利用する方が便利かもしれません。
ただし、一日で320円以上地下鉄を利用する場合、上述したタッチ決済が金銭面で有利です。「はやかけん」ではなく、タッチ決済を利用するのが一考に値します。
まとめ
福岡市内を走る福岡市地下鉄では、障害者手帳所持者に対する運賃の障害者割引が行われています。福岡空港と直結しているため、福岡市民に限らず全国の当事者にとっても有用です。
障害者割引の対象者は、各種障害者手帳を持つユーザーですが、等級に応じて割引を受けられる対象者が変わります。普通乗車券の他、交通系ICカード「はやかけん」定期券も割引になります。
地下鉄から乗り入れるJR九州筑肥線は、障害者割引(単独旅行)の対象外です。
紙のきっぷ(普通乗車券)だけでなく、記名式の「はやかけん」障害者用割引カードを利用できます。乗車するたびに手帳を提示する必要がなく、自動的に割引運賃が引き落とされるので、とても便利です。
このカードには有効期限が設定されていて、定期的に更新する必要があります。また、福岡市地下鉄以外の他社線では一切使用できないので、注意しましょう。
「はやかけん」障害者用カード以外の交通系ICカードでは、有人改札でも割引の取り扱いはできません。ただし、クレジットカードのタッチ決済では、割引が可能です。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 福岡市交通局ウェブサイト 2024.10閲覧
当記事の改訂履歴
2024年10月29日:当サイト初稿
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